第54回日本白内障学会・第41回水晶体研究会

会長挨拶
第54回日本白内障学会総会 会長 市川一夫(医療法人いさな会 中京眼科 視覚研究所)(独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院 眼科 顧問) 第41回水晶体研究会 会長 山本直樹(藤田保健衛生大学 共同利用研究施設 分子生物学)
第54回日本白内障学会総会 会長 市川一夫(医療法人いさな会 中京眼科 視覚研究所)(独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院 眼科 顧問)

このたび第54回日本白内障学会総会を開催する運びとなりました。東京オリンピックが開催された昭和39年の11月に名古屋において第1回白内障 Group Discussionを開催して以来、半世紀を超える歴史をもつ日本白内障学会の1ページを飾ることができ光栄に存じます。名古屋での開催も約20年ぶりとなり、まさに月日の移り変わりを実感いたします。また、今回は10年ぶりに水晶体研究会との合同開催となります。水晶体研究会も41回を数える歴史ある研究会であり、ともに開催できることを喜んでおります。「我国における白内障の研究・診療の進歩とともに会員相互の親睦をはかる」ことを目的とする日本白内障学会と、「水晶体を基礎研究と臨床研究の両面から研究し、水晶体の理解、白内障の克服を目指す」水晶体研究会とが合同開催することにより、一層意義のある、実りの多い学会にすることができると信じております。

水晶体研究会との合同開催ということも踏まえ、今年のテーマは『白内障 臨床と基礎の絆』としております。白内障を中心テーマとしつつ、臨床医師と基礎系研究者との意見交換、研究内容の共有ができる場を提供できればと思っております。また、今年は医師、研究者等だけでなく、広く一般市民をも対象に、市民公開講座を開催いたします。加齢とともに誰もが経験をする白内障、そうであるだけに一部の方たちを対象とした場ではなく、広く門扉を開け、こちらから啓発、啓蒙活動を行っていく必要性を感じます。日々の診療活動等に追われ時間のない臨床医師にとって、患者や一般の方々に白内障を説明し、よりよく知ってもらう良い機会となるでしょう。また、研究者にとっては、自分の研究分野、研究内容を広く知っていただく機会にもなります。一般の方々も、学会という異空間の一端に少しでも触れることができ、より身近な存在として感じてもらえればと思います。今年のテーマの一部に「絆」という語が使われておりますが、まさに社会との絆を大切にしたいと思います。

2015年は国連が定めた国際光年の年にあたります。光と光技術が主題ではありますが、光が、水晶体を通して網膜に焦点を結び視覚を引き起こすと考えますと大いに関連があるのではないかと思います。今からちょうど1000年前、アラビアの科学者イブン・アル・ハイサムが、「光学の書(視覚論)」をまとめ、視覚の仕組みを示しました。人の目から出た光線が物にあたることによって人は知覚するという従来の説明を逆転し、物にあたった光が反射し人の目に入ることによって物が見える、と説いたのです。ただ当時は、水晶体は感覚器官である、という認識が一般的でした。その後、水晶体自体の研究も進み、今もこうして、水晶体を基礎、臨床の両面から研究し、白内障の研究、その診療の進歩を絶えず模索している最中です。今後もますます発展して行くと思われます。

今学会が過去から続く人類の英知の上に成り立ち、次の一歩を進めるための、臨床医師、基礎系研究者等、また広く一般の方々の交流の場、絆となることを祈念します。

第41回水晶体研究会 会長 山本直樹(藤田保健衛生大学 共同利用研究施設 分子生物学)

この度、第41回水晶体研究会を名古屋にて開催させていただく運びとなりました。日本白内障学会との合同学会は今回で4回目となりますが、日本白内障学会、水晶体研究会ともに名古屋での開催は久しぶりとなります。日本の本州ほぼ中央に位置する中部地方の名古屋は、どちらからも比較的気軽にお越しいただける地域ではないかと思っております。今回の学会会場は、名古屋駅前のシンボルタワーの1つであるミッドランドスクエア5階のミッドランドホールをご準備いたしました。中部国際空港から名古屋鉄道にて名古屋駅まで約28分、名古屋駅からは徒歩5分、名古屋の名物の1つである地下街を通れば、雨に濡れることなく会場までお越しいただけるアクセス抜群の場所です。

水晶体研究会で私が初めて発表をさせていただいたのは、平成12年1月に箱根の湯本富士屋ホテルにて開催された第26回大会で大会長は尾羽澤先生でした。今回、41回という歴史ある水晶体研究会の大会会長を拝命し、改めて自分が初めて発表した第26回大会から昨年の第40回大会までの抄録集を読み直してみますと、水晶体の透明性維持機構の解明、水晶体の混濁(白内障)の発症起因や機序に関して、多くの先生方が時代の流れとともに進歩した手法や機器を用いて、水晶体に関するさまざまな研究報告があることを実感しました。

近年の医学領域の基礎研究では、iPS細胞を含む幹細胞を用いた再生医療が注目を集めています。眼球の細胞生物学的研究の歴史は古く1781年にイモリの眼の再生に始まり、1900年ごろに有尾両生類の虹彩色素上皮細胞から水晶体が再形成されるという報告がありました。水晶体は無血管で周囲をコラーゲンの膜で覆われた透明な器官であり、さらにピント調整に関与するため絶妙な硬度を維持しなければならないことから、幹細胞を用いた水晶体の再生には水晶体を形成している細胞の正確かつ緻密な配列が非常に重要であると思います。

日本白内障学会・水晶体研究会合同学会のテーマを『白内障 臨床と基礎の絆』とし、基礎と臨床の多くの研究者に多種多様な成果報告をしていただきたく、一般演題は勿論、学会企画として特別講演、シンポジウム、教育講演、ランチョンセミナー、イブニングセミナーに加え、最終日の午後には市民公開講座を設けました。シンポジウムでは『水晶体の再生』、『白内障の予防・治療』、『臨床医にとっての基礎研究』というテーマでさまざまな分野の先生方にご講演いただきます。基礎研究者や臨床医のみならず、学生や一般の方などとの交流を通じて、さまざまな絆が生まれることを期待しております。

これまでの多くの水晶体研究会では、年始に合宿のように1泊2日の泊まり込みで夜遅くまで自由にディスカッションできるという水晶体研究者にとっては非常に貴重な意見交換のできる場であったと思います。今年は年始ではなく、まだ暑さも残る9月の開催となりましたが、ぜひ夜遅くまで水晶体に関する白熱したご意見やご討議が飛び交い、皆様の更なる親睦を深められる場になってくれることを祈念しております。

Copyright © 2014 The 54th Annual Meeting of the Japanese Society Cataract Research / The 41st Annual Meeting of the Japanese Society for Crystalline Lens Research.  All Rights Reserved.