第37回日本炎症・再生医学会の開催にあたって -炎症と再生の接点を考える-

田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所生体材料学分野) この度、第37回日本炎症・再生医学会を担当させていただくことになりました。大変光栄に存じますとともに、伝統ある学会の名に恥じない学術大会になるように力を尽くす所存でおりますので、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。学会は2016年6月16日(木)から17日(金)の2日間、京都勧業会館 みやこめっせで行われます。
 一般に、組織、臓器の欠損あるいは障害が生じた場合、修復の有無に関係なく、最初に起こるイベントは炎症であります。炎症がなければ再生修復は起らないと考えられます。例えば、細胞の増殖分化能力を高め、生体のもつ自然治癒力を介して病気を治す再生医療では、体内で細胞の能力を高めるために、3次元の細胞足場材料などが用いられる場合があります。もし条件がよければ、細胞は足場内で増殖、分化し、生体組織は再生修復されます。ところが、用いる細胞や材料が体内環境に合っていなければ炎症が起こり、再生修復どころではありません。また、初期にうまく再生修復が見られた場合でも、長期間の後には足場材料あるいはその分解物により誘導される炎症によって、再生組織が吸収されてしまうこともあります。すなわち、炎症反応が組織の再生修復の結果を左右します。また、幹細胞移植による組織再生修復の程度も炎症時間経過を考慮して細胞移植を行う必要があること、炎症応答を薬によって抑制することで再生修復が促されることなども認められています。一方、炎症や免疫細胞の活性制御のためのサイトカインやそれらの細胞の体内移動のためのケモカインが、細胞能力を介した組織再生修復やリウマチなどの自己免疫疾患の治療に関与していることがわかっています。このように、「再生」と「炎症」は切っても切れない関係にあり、両者を組み合わせて議論することの重要性はますます高まっていると考えらます。そこで、本学会のメインテーマを「炎症と再生の接点を考える」といたしました。
 本大会では、「炎症」と「再生」で今、ホットな研究領域を全体的に鳥瞰できるようにプログラムを編成いたします。「生体防御バリアと炎症性疾患」「リウマチの最前線」「臓器線維化制御の戦略」「骨免疫」「自己炎症性症候群」「再生治療の最前線」「炎症・再生イメージング」「疾患iPS細胞と創薬」などのシンポジウムに加えて、「血管新生制御と3D組織構築」「関節炎と関節再生治療」「組織幹細胞治療と炎症」「炎症と血管・リンパ管新生」などの炎症・再生接点シンポジウムを企画いたします。日本再生医療学会や骨免疫学会との共同シンポジウムも行われます。炎症・再生に興味をお持ちの、異なる専門分野と領域の方々に集まっていただき、「炎症と再生の接点」について議論していただける場を提供したいと考えています。
 会員の皆様はもちろん、炎症・再生に興味をもち、この分野の発展と推進を志す方々にも多数ご参加いただけますように、鋭意準備を進めてまいります。ご支援、ご指導の程、よろしくお願い申し上げます。皆様の学会参加を事務局一同、心よりお待ちしております。

第37回日本炎症・再生医学会
会長 田畑 泰彦