会長挨拶

会 長 鈴木 眞一
福島県立医科大学医学部 甲状腺内分泌学講座 主任教授

 この度、第58回日本甲状腺学会学術集会を2015年11月5日(木)~7日(土)の3日間、福島県文化センター(福島市)で開催させていただくことになりました。伝統ある本学術集会を福島県では勿論のこと、福島県立医科大学で開催するのは初めての事であり、大変光栄に存じます。2011年に東日本大震災が発生し、その後福島第一原発事故が起こり、福島では県民健康調査の1つとして「甲状腺検査」が実施されております。本学会の臨床重要課題にも取り上げられており、すでに約30万人の健診が終了し、現在は二巡目の検査を実施しているところです。

 2010年に長崎で山下俊一先生が「放射線の光と影」をテーマに被曝65周年に合わせ開催されたのが記憶に新しいところですが、その4ヶ月後に大規模な原発事故が起こってしまいました。再び、放射線の健康影響が取りざたされるなか、放射線と甲状腺は極めて重要な問題となりました。私共、福島県立医科大学職員は被災したこの地で、この大きな悲劇を奇跡に変えるべく日夜奮闘しております。

 現在では原発周辺の避難区域以外では日常生活を行えるようになっておりますが、県民健康調査は長きにわたり続きます。ここで、メインテーマを「放射線と甲状腺、震災後四年を経て」にいたしました。全国の甲状腺専門医をはじめ多くの先生や技師の皆様にご支援いただいております「甲状腺検査」の現状と、小児甲状腺癌の診断と治療など多くの関連したテーマにつき、国内のみならず海外からもお集まりいただき、この福島の地で、実りあるディスカッションが展開されることを願っております。

 すでに、アメリカ合衆国、ニューヨークのMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのJames A. Fagin 教授に甲状腺癌の発がんメカニズムに関する特別講演をお願いしております。その他海外の演者を招聘中です。

 今回は、従来の基礎医学分野を含めた内科、放射線科、小児科臨床分野に加え、甲状腺癌とくに微小癌の取り扱いや小児甲状腺癌の診断、治療に関する話題、そして分子標的治療薬の甲状腺癌への使用が開始され、ラジオアイソトープ抵抗性の判定の問題など討議する話題が豊富です。また放射線と関連し、超音波スクリーニングの問題、健診全体の話題、過剰診断等の問題、診断基準の作成、甲状腺超音波検査のupdateなども充分な討議を期待します。初日には甲状腺超音波検査のハンズオンセミナー、最終日にはテーマに関連した市民公開講座を予定しております。

 また、先の理事会で、医師以外の甲状腺診療、研究、教育に携わるメディカルスタッフの参加を勧めるという方針が出されております。そのため学会参加費の割引措置やメディカルスタッフの皆様が参加出来るセッション等を用意いたしました。多くのメディカルスタッフの方のご参加をお待ちしております。

 東北の玄関口福島は、この時期、収穫の実りの秋真っ盛りです。お米、お酒、梨、柿、ブドウなど多くの果物もございます。少し足を伸ばせば会津の観光や温泉秘湯巡りなどもございます。学会のついでに福島を堪能していただければ幸いです。多くの皆様にお出でいただける事を心よりお待ちしております。