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第9回日本再生医療学会総会 会長挨拶

第9回日本再生医療学会を開催するにあたり

第9回日本再生医療学会会長 越智光夫広島大学大学院整形外科学 越智光夫
日本の再生医学のレベルは世界を見渡しても高いレベルを維持しているのは間違いありません。これはひとえに日本の研究者の豊かな発想力とたゆまぬ努力の賜物であろうと思います。山中伸弥教授のiPS細胞の研究の成果は業界のみでなく日本全体を活性化したといっても過言ではないでしょう。一方再生医療という観点からは日本はいかがでありましょうか。治験は重症虚血性心疾患に対する自家末梢血単核球移植、あるいは慢性下肢虚血に対するCD34陽性細胞移植、整形外科領域の骨の無腐性壊死に対する骨髄間葉系幹細胞移植等いくつかの再生医療が全国で走り始めていますが、保険収載に至ったヒト細胞・組織を利用した再生医療製品は2009年1月に承認された自家培養表皮のみです。日本からの2004-2007年の論文数は約1000とアメリカの凡そ半数であり、健闘していると言えますが、パテントに関しては日本国籍を持つ人の外国出願が少ない傾向があることが判っています。良い論文を書くことのみに満足していては産業界を大きく巻き込み、この領域に活力を与えることはできません。再生医療が日本で定着し、根を下ろすためにはすばらしいレベルの研究は言うまでもありませんが、どのようにすれば産業界が積極的に関与したい仕組みになるのか、行政と共に考えていく必要があります。
ライフサイエンス分野の規制改革にあたり、平成20年10月24日内閣府特命担当(規制改革)甘利 明大臣が5つの重要な課題を検討テーマとして挙げられましたが、その中に、高度医療評価制度の積極的運用(臨床段階での保険診療の併用)が含まれています。同制度を積極的に運用することで、適用対象医療技術の拡大を図ることも必要です。このような追い風が吹いている今こそ、再生医療の進展を進めるまさに絶好の機会であると考えます。
日本発のヒトES細胞に関する論文はES細胞に関する規制以降、欧米、アジアからの発表に比し、格段に少なくなっています。ヒトES細胞を取り扱うことで蓄えられた幅広い知識と技術なくして、iPS細胞を用いた再生医療の国際的競争に日本が勝ち抜くことは困難でありましょう。
再生医療への熱が冷めないように、一度基本に立ち返って、活性化すべく、いろいろ討論したいと考え、フェニックス—次世代の再生医療へ—をテーマに掲げさせていただきました。
多くの会員の方々のご参加を広島の地でお待ちいたしております。