大会長挨拶
  この度、アジアハイパーサーミア腫瘍学会第5回大会・日本ハイパーサーミア学会第27回大会合同大会の大会長の大役を務めさせていただくことになりました。本会は、平成22年9月10日(金)、11日(土)の2日間、福岡市の九州大学医学部百年講堂にて開催する予定です。歴史と伝統のある本会の開催に携わることができ、誠に光栄に存じます。
  本会は、「ハイパーサーミア-21世紀の扉を開く- “Thermal Medicine: Opening the Door to the 21st Century”」をメインテーマとして、実りある会にしたいと考えています。臨床・生物・工学など、様々な分野の第一人者の最先端の講演を拝聴できるとともに、若手の研究者にも積極的にご参加いただき次世代への発展の一助にしていただきたいと存じます。
  ハイパーサーミアは、副作用の少ない“患者にやさしい”癌の治療法として行われ、手術・放射線・抗癌剤に次ぐ治療法として注目をあびてきました。近年、新規抗癌剤の開発、分子標的治療の臨床応用など癌治療も新たな展開を迎えていますが、ハイパーサーミアもこれらと組み合わせた集学的治療の一翼を担うものと信じております。また、悪性腫瘍に対する温熱治療として、従来のハイパーサーミア(42~44℃)のみならず、放射線・抗癌剤の増感効果を有するマイルドハイパーサーミア(40~41.5℃)、凍結療法(0℃以下)、近年、注目されているマイクロ波やHIFUなどの焼灼療法(60~100℃)もThermal Medicineとして新たな展開が期待されているところです。さらに、温熱はウイルスからの感染防護、免疫能の回復、臓器の機能保全などの作用を有し、癌治療以外の新分野へもThermal Medicineとしての研究が進んでいます。
  21世紀はポストゲノム時代と言われています。2003年にヒトゲノムの塩基配列解読が終了したことが宣言され、生命科学はゲノム解読の次の段階に入ったと考えられています。ヒトの疾病の原因が遺伝子レベルで解明されるとともに、ハイパーサーミアの作用機序が分子レベルで明らかにされることが期待されます。
  「ハイパーサーミア-21世紀の扉を開く-」とのテーマを掲げた本会が、ポストゲノム時代の中で、新時代の息吹を感じさせ、かつ”Thermal Medicine” の新しい展開に寄与することを切に願っています。
  是非とも、多くの皆様にご参加いただきますようにお願い申し上げます。
  初秋の心地よい福岡でお待ちしています。

九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科
教授 前原 喜彦