第41回日本動脈硬化学会総会・学術集会 プログラム
日程表1日目 日程表2日目

主要題目

・ 特別講演
  座長松﨑 益德 先生(山口大学大学院医学系研究科器官病態内科学)
  演者Prof. Valentin Fuster
(Professor, Medicine, Cardiology , Mount Sinai School of Medicine, New York)
・ 招待講演1
  座長北 徹 先生(神戸市立医療センター中央市民病院)
  演者Prof. Peter Libby
(Chief, Cardiovascular Medicine, Brigham and Women's Hospital, Harvard University, Boston)
・ 招待講演2
  座長齋藤 康 先生(千葉大学学長)
  演者Prof. M. John Chapman
(Director, Dyslipidemia and Atherosclerosis Research Unit
National Institute for Health and Medical Research (INSERM), Paris / President, European Atherosclerosis Society)

Featured Session (共催:第一三共株式会社)
  演者遠藤 章先生(株式会社バイオファーム研究所 代表取締役所長)

・ シンポジウム  タイトル及び座長(予定)

シンポジウム1
「慢性腎臓病(CKD)と脳心血管疾患」
Chronic kidney disease (CKD) as a risk factor for development of cardiovascular diseases
<指定>
柏木 厚典 先生(滋賀医科大学附属病院)
柏原 直樹 先生(川崎医科大学内科学(腎))
 
シンポジウム2
「大動脈瘤の基礎と臨床」
Recent advances in pathobiology and treatment of aortic aneurysms
<一部指定(公募あり)>
重松 宏 先生(東京医科大学医学部血管外科(第二外科))
江頭 健輔 先生(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
【座長のことば】
 人口の高齢化に伴い大動脈瘤の罹患患者数は欧米と同様に増加の一途をたどっている。従来は小径瘤に対する経過観察と、大径瘤に対する開腹、開胸による人工血管置換術以外に治療方針のオプションがなかった。近年、低侵襲治療法としてステントグラフトによる血管内治療法が急速に広まったことに伴い、治療戦略の選択が可能になってきたため、的確な病態診断への要請が増している。さらに、一般に患者が高齢で全身的な予備能が低下していることが多いため、より低侵襲かつ確実な治療法が待ち望まれており、その面からも病態解明が必要とされている。大動脈瘤は動脈硬化や組織変性と関連づけられ、遺伝素因の関与も推定されていたが、その正確な病態は長らく不明であった。最近の分子生物学および遺伝学的研究からは、浸潤した慢性炎症細胞と組織実質細胞である血管平滑筋細胞がサイトカインを介してダイナミックに相互作用し、組織破壊が進行する病態が徐々に浮かび上がりつつある。本シンポジウムでは、大動脈瘤の病態と、それに基づく診断・治療法について最新の成果を発表していただき、病態に関する理解を深めるとともに将来の基礎研究と臨床の展望について議論したい。
 
シンポジウム3
「動脈硬化性疾患の非侵襲的診断法(US, MRI, MDCT, 血管内皮機能検査など)」
Non-invasive diagnosis of Arteriosclerotic disease (US, MRI, MDCT, Vascular function, etc.)
<公募>
大鈴 文孝 先生(防衛医科大学校第一内科学)
山科 章 先生(東京医科大学内科学第二講座)
【座長のことば】
 生活習慣の変化からわが国では動脈硬化関連疾患が急速に増加しており、死因、QOL低下、医療費、労働力損失、いずれの面からみても重要な課題となっている。動脈硬化の進行は緩徐であるが、一旦、進展すると急速に進行して突然に発症することが多い。したがって、動脈硬化を早期に的確に診断し、適切な介入により進展および発症を予防することが重要である。
 動脈硬化には、粥腫形成と壁硬化という2つの面があり、いずれも心血管疾患の発症に重要な役割を演じている。したがって、粥腫や内膜・中膜の肥厚や変性など壁構造の解剖的評価と血管壁硬化などの機能的評価が必要である。今日、前者では頸動脈エコー、冠動脈CT、MRIなどが、後者では内皮機能検査、脈波速度(PWV)、Augmentation Index (AI)、足関節/上腕血圧比(ABI)などが行われている。本シンポジウムではこういった動脈硬化の非侵襲的診断法について、(1)動脈硬化の進展程度が適確に分かるか、(2)心血管病発病のリスク評価ができるか、(3)治療的介入をする場合にはその効果が評価できるか、(4)被検者の負担が少ないか、(5)費用対効果に優れているか、などを念頭において討論したい。
 
シンポジウム4
「血管再生をターゲットにした細胞移植療法の有用性と問題点」
Current status of therapeutic angiogenesis by cell transplantation and gene transfer
<一部指定(公募あり)>
室原 豊明 先生(名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学)
森下 竜一 先生(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学)
【座長のことば】
 細胞移植療法や遺伝子治療による血管再生療法の臨床応用が進んでいる。例えば自己骨髄単核球細胞移植による血管再生療法は一定の成果を上げたものの、侵襲が強い、効果の持続が短い、効果の現れない症例群が存在するなどの問題点が浮きあがった。特に虚血心を対象にした国内外のトライアルでは、心機能(EF)の改善は思ったよりも大きくはなかった。本シンポジウムでは、現時点における各細胞移植臨床試験の成績、それらの問題点、さらには次世代の治療として期待される細胞移植療法の基礎研究などの発表を公募し、参加者とともに討論したい。
 
シンポジウム5
「不安定プラークの画像診断とバイオマーカー(侵襲的診断 IVUS, OCTなど)」
Vascular Imaging and Biomarkers for Vulnerable Plaques
<一部指定(公募あり)>
山岸 正和 先生(金沢大学循環器内科)
久米 典昭 先生(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
【座長のことば】
 急性冠症候群を発症するリスクの高い不安定プラーク(脆弱プラーク)は、必ずしも通常の冠動脈造影上の狭窄度には反映されず、その的確な診断法が求められている。経皮的カテーテルを用いた、VH-IVUS, IB-IVUS あるいは OCT などの画像診断により、プラーク内の組織性状と線維性被膜の厚さの推定が可能となっている。最近では、冠動脈CTやMRIによる非侵襲的手法でのプラーク評価も可能となりつつある。また、プラーク内でのプロテアーゼ活性や細胞死なども含めた炎症性変化および酸化ストレスがプラーク不安定化に関与することが知られ、それらの変化を反映すると考えられる血液バイオマーカーがいくつか提唱されている。本シンポジウムでは、粥状動脈硬化不安定プラーク(脆弱プラーク)を検出する画像診断と、それを反映すると考えられる血液バイオマーカーについての最新の情報を提示していただくとともに、画像診断と血液バイオマーカーの関係についても討議したい。
 
シンポジウム6
「冠動脈バイパス術,ステントの現状と今後の展望(-脂質低下療法はどうあるべきか-)」
Current Status and Future Direction of Coronary Revascylarization : Focusing on Lipid-lowering Therapy
<指定>
木村 剛 先生(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
山崎 力 先生(東京大学大学院医学系研究科臨床疫学システム学講座)
 
シンポジウム7
「わが国の動脈硬化性疾患の変遷と今後の展望」
Change in atherosclerotic diseases in Japan and its perspective
<指定>
上島 弘嗣 先生(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門)
清原 裕 先生(九州大学大学院医学研究院環境医学分野)
【座長のことば】
 世界の人口動態統計によれば、1950年代から1960年代にかけて世界で最も高いレベルを維持していたわが国の脳卒中死亡率は、1970年代初頭より急速に減少し始め、1990年代に入り欧米先進諸国と肩を並べるまでに至った。一方、欧米諸国に比べはるかに低いレベルにあった心筋梗塞死亡率(年齢調整)も、脳卒中ほどではないがやはり1970年代を境にして緩やかな減少傾向にある。このような動脈硬化性疾患の死亡率減少には、高血圧治療の普及が大きく寄与したことは疑いようのない事実といえよう。一方、戦後のめざましい経済成長によって日本人の生活水準が大幅に向上して食生活を含む生活習慣の西洋化した結果、肥満をはじめとする代謝性疾患が急増して新たな健康問題となりつつある。また高齢者の死亡率が大幅に減って、動脈硬化性疾患のリスクが高い高齢人口が急速に増大している。このような社会・生活環境の変化は、動脈硬化性疾患の疾病構造に変化をもたらし、その病態にも影響を与えていると推測される。本シンポジウムでは、わが国を代表するコホート研究のエビデンスを集めて、日本人の動脈硬化性疾患の時代的変遷と現状を明らかにし、その展望について議論する。
 
シンポジウム8
「新しい動脈硬化性疾患治療薬の可能性について」
New Approach to Antiatherogenic Drugs
<指定>
横山 信治 先生(名古屋市立大学大学院医学研究科生物化学分野)
山下 静也 先生(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
【座長のことば】
 胆汁酸吸着剤やスタチンのLDL受容体活性増加・血漿LDL濃度低下作用による動脈硬化性疾患とりわけ虚血性心疾患の予防の達成は、動脈硬化研究における20世紀最後の20年の偉大な成果であった。またフィブラート剤による血漿トリグリセリドの低下にも同様の効果が期待できるようになった。コレステロール吸収特異的阻害剤にもまたこうした効果が期待されている。しかし、これらによる予防には30-40 %という限界があり、これを越えてさらに大幅な予防を、あるいは病変の治療を目指すための薬剤開発には、新しいアプローチが期待される。その代表的なものは、脂質代謝に関連するものとして、「負の危険因子」HDLの上昇薬剤や抗脂質酸化剤さらには細胞内コレステロール蓄積を直接抑えるACAT阻害剤などである。また、抗炎症や抗血小板凝集なども独立した新しいアプローチと考えられる。しかし、今のところ、これらの試みはまだ成功していない。こうした現状を踏まえ、このシンポジウムでは、こうした分野での我が国に於ける最近の研究成果をもとに、今後の可能性を探ることを試みたい。HDLについては、その新生の増加、異化の阻害、血中でのremodelingなどの側面からの研究について、脂質抗酸化の面からは古い歴史を持つ薬剤probucolに対する再評価の試みを、また抗炎症・抗血小板凝集に関しては、我が国に於ける最近の大規模臨床試験の結果を、それぞれ発表していただき、またエネルギー代謝やステロール代謝に関わる遺伝子を制御する核内受容体に直接作用する薬剤の可能性についても議論したい。
 
シンポジウム9
「食後代謝異常と動脈硬化性疾患」
Metabolic derangement in postprandial state and atherosclerosis
<公募>
島本 和明 先生(札幌医科大学医学部医学科内科学第二講座)
及川 眞一 先生(日本医科大学内科学講座血液・消化器・内分泌代謝部門)
【座長のことば】
 代謝異常の是正は、疾患発症を防止し、予後を改善することが大きな目的の一つである。代謝異常の是正は長期に渡って行うことが必要であることは一般的な考えとして受け入れられてきた。一方、短期間であっても代謝異常を是正することは将来の疾患発症、特に動脈硬化性疾患の発症を抑止することの可能性が指摘され、metabolic memoryといった概念が提唱されるようになった。このような問題は食後の代謝変化を検討することの重要性を指摘するものであろう。食後の問題としては食後の脂質代謝変化、糖代謝変化、血圧変化などが考えられる。一方、食後の代謝変化の基礎となるものは一般的に行われている空腹時の代謝状態である。これらの関連性を議論することも重要な課題である。本シンポジュウムではこのような食後の代謝変化に着目し、食前と食後の変動、あるいは代謝状態が影響すると考えられる生体反応、血管機能変化、また、最終的な臓器障害としての動脈硬化性疾患との関連性を議論するものとしたい。
 
シンポジウム10
「学童期・思春期におけるメタボリックシンドロームの管理」
<指定>
中村 正 先生(大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学)
太田 孝男 先生(琉球大学医学部病態解析医科学講座育成医学分野)
【座長のことば】
 わが国では、昨年度よりメタボリックシンドロームの概念を導入した特定健診・特定保健指導が開始された。この制度は、対象を40歳以上の成人としているが、メタボリックシンドロームの診断は、動脈硬化性疾患の一次予防を目的としており、より若年期からの生活習慣病の予防・管理が望まれている。厚生労働省の研究班から2007年にわが国の小児メタボリックシンドロームの診断基準が提言され、20歳から30歳代の若年成人だけでなく、小児期や思春期からの肥満症・メタボリックシンドロームへの予防管理の重要性が注目されてきた。本シンポジウムでは、小児メタボリックシンドロームの診断基準の概要ならびにその関連リスクとしての高血圧、インスリン抵抗性、脂質異常、さらには予防治療としての栄養管理につき、小児肥満症を含めた成人とは異なった小児領域の特徴を明らかにし、小児メタボリックシンドロームに対する適正な管理について議論したい。
 
シンポジウム11
「Non HDLコレステロールと冠動脈粥状硬化症」
NonHDL cholesterol as a risk factor of coronary heart disease
<一部指定(公募あり)>
代田 浩之 先生(順天堂大学医学部循環器内科学)
横山 光宏 先生(兵庫県立淡路病院)
【座長のことば】
 スタチンによるLDLコレステロール低下療法の意義が確立され、実地臨床でもガイドラインで設定された治療目標値を用いた脂質低下療法が実践されている。一方高中性脂肪血症や低HDLコレステロール血症に対する治療については必ずしもその診療指標や目標が明確でない。特に中性脂肪は食事などの影響を受けて変動が大きく、管理目標とするには難しいことから、その診療指標としてnonHDL-コレステロールを用いることが提案されている。nonHDLコレステロール(総コレステロール-HDLコレステロール)は、LDLコレステロールに加えてレムナント、small dense LDLなどの高中性脂肪血症における動脈硬化惹起性リポ蛋白のすべてを包含した有用な指標と考えられる。算出に必要な総コレステロール値、HDLコレステロール値は共に食事の影響が少ないことから、nonHDLコレステロールも食事の影響を受けない。わが国のガイドライン(原発性高脂血症調査研究班)、米国NCEP ATP-3でも中性脂肪が高い場合には第二管理目標としてnonHDLコレステロールを指標とし、その上で低HDLコレステロール血症がある場合には第三管理目標としてHDLコレステロールの是正を図るべきとしている。このパネルディスカッションではnon-HDLコレステロールのわが国における位置づけを多角的に議論したい。
 
シンポジウム12
「低HDLコレステロール血症の原因と治療」
Hypoalphalipoproteinemia: causes and treatment
<公募>
朔 啓二郎 先生(福岡大学医学部心臓・血管内科学講座)
池脇 克則 先生(防衛医科大学校内科学講座老年内科)
【座長のことば】
 HDLは以前よりカメレオンリポ蛋白と呼ばれていた。ある時は青く、ある時は赤く、つまりanti-inflammatoryとpro-inflammatoryな性格を持つ物体なのである。臨床試験の結果もその性格を反映している。低HDL-C血症は明確な冠疾患のリスクファクターであり、HDL-C 1mg/dlの低下は冠疾患 2~3%の増加につながる。しかし、低HDL-C血症は上げるべきか、治療の対象にすべきか、高HDL-C血症を心臓病予防や長寿レシピーとして考えるか否かに関しては未だ答えがない。「低HDL-C血症の原因と治療」と題して、様々な方面からディベートしたい。スタチン同様、多面的作用を有するHDLの機能を増強するための方略、機能に関する分子機構の解明と創薬、HDL-C増加薬の今後、functional HDLとdysfunctional HDLのカテゴリー、non-HDL-Cなのか、LDL-C/HDL-Cが重要なのか、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病を合併した心血管疾患症例からの検討等、HDLをベンチからベッドサイドまで追求する。
 
シンポジウム13
「後期高齢者に対する脂質管理はどうあるべきか」
How to manage dyslipidemia in very elderly?
<指定>
大内 尉義 先生(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座)
荒井 秀典 先生(京都大学大学院医学研究科内科学講座 加齢医学)
【座長のことば】
 世界に類をみない高齢社会となっている我が国においては65歳以上の高齢者人口は5年後には3000万人を超え,10年後には後期高齢者数が前期高齢者数を上回ると予想されており,後期高齢者の健康長寿は重要課題である。高齢者のADL・QOLを脅かす冠動脈疾患や脳卒中は,その発症予防が重要であるが、これまで75歳以上の高齢者のみを対象とした脂質低下療法による心血管イベント発症抑制に関するエビデンスはほとんど存在せず,明確な指針もない。2007年本学会より発表された動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは,74歳までの前期高齢者に関する脂質管理は,日本で行われた臨床試験などをもとに一般成人と同じでよいとされているが,75歳以上の高齢者に関しては,十分なエビデンスがないため、その脂質管理については担当医師の判断で行うことになっている。従って、本シンポジウムにおいては後期高齢者における1次、2次予防のための脂質管理について各分野の専門医の意見をもとに現時点での治療指針について議論するとともに、日本老年医学会が中心となって企画し、現在進行中のEWTOPIA75試験を紹介したい。


・ 明日へのシンポジウム ~生活習慣部会からのメッセージ
 「わが国における生活習慣と心血管病の変遷:将来への提言」
Message from Committee on Lifestyle : "Changes in Lifestyle and Cardiovascular Disease in Japan: Message to the Future"
<指定>
座長:佐々木 淳 先生 (国際医療福祉大学大学院臨床試験研究分野)
多田 紀夫 先生 (東京慈恵会医科大学附属柏病院 内科総合診療部)
【座長のことば】
 動脈硬化性疾患は遺伝素因に過食、運動不足をはじめとする環境因子が加わり発症する。現在、日本の女性は世界で最も長寿であり、その原因として体質に加え生活習慣が影響していると考えられる。しかし、わが国では、過食と日常身体活動量の低下・運動不足など生活習慣の欧米化に伴い疾病構造も大きく変わってきた。わが国において早くから生活習慣の欧米化が進んでいる沖縄では、1980年長寿日本1位から2000年には26位となり、“沖縄26ショック”と呼ばれている。沖縄の男性では心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化性疾患の死亡率が他県に比べて高くなっている。また生活習慣の欧米化はメタボリックシンドロームの主な原因となり内臓肥満、糖代謝異常、血圧上昇、トリグリセライド値の増加およびHDLコレステロール値の減少など動脈硬化の危険因子を増やしている。わが国において、このような状態が続けば動脈硬化性疾患の発症が増えて、日本人の寿命にも影響してくる可能性が考えられる。本セッションでは日本における生活習慣、特に栄養、日常身体活動の変遷と心血管病に関するエビデンスを整理し、動脈硬化性疾患発症を予防するための生活習慣の指導について討論を行いたい。
 
・ 明日へのシンポジウム ~病理部会からのメッセージ
 「全身の動脈硬化病変-病理像・画像・バイオマーカーをつなげる-」
Message from Subcommittee for Pathology: "Pathophysiology of Human Atherosclerosis: Linking Pathology, Imaging, and Biomarkers"
<一部指定(公募あり)>
座長: 上田 真喜子 先生 (大阪市立大学大学院医学研究科病理病態学)
居石 克夫 先生 (九州大学大学院医学研究院病理病態学)
【座長のことば】
 近年わが国では、脂質異常症、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの増加に伴い、冠動脈のみならず、頸動脈、脳内動脈、大動脈、下肢動脈などの全身の動脈硬化性疾患が著明に増加してきている。そのため、動脈硬化に起因する心筋梗塞、脳血管疾患、大動脈瘤/大動脈解離、下肢閉塞性動脈硬化症などの罹患率も増加してきている。最近は、CT、MRI、エコーなどを用いた画像診断が進歩し、全身の動脈硬化病変に関して、その病理・病態像を反映したプラーク性状評価まで可能な時代になってきている。また、ヒト動脈硬化病変では、プラークの進展に伴い、血管壁を構成する細胞である平滑筋細胞や内皮細胞と、血球由来の単球/マクロファージ、Tリンパ球、好中球、血小板などの間に、さまざまな相互反応と種々のバイオマーカーの産生・放出が起こることが明らかにされているが、最近では、これらのバイオマーカーの血中での増加とプラーク不安定性との関連性も明らかにされつつある。
本シンポジウムでは、ヒトの全身の動脈硬化病変における、それぞれの特徴や違いを明らかにするとともに、病理像、画像、血液バイオマーカーの相互連関について議論し、理解を深めたい。
 
・ 動脈硬化性疾患診療ガイドライン ―残された問題―
JAS guideline for diagnosis and prevention of atherosclerotic cardiovascular diseases for Japanese −Some issues remained to be discussed−
<指定>
座長:寺本 民生 先生 (帝京大学医学部内科学教室)
横出 正之 先生 (京都大学医学部附属病院探索医療センター探索医療臨床部)
【座長のことば】
 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版が発表されて2年余りが経過した。本ガイドラインは国内外の最新のエビデンスに基づいて日本人に最も適した予防指針を提供することを目指したもので、特に脂質異常症の診断基準ならびに管理目標から血清総コレステロール値を除いてLDL-C値に統一したほか、メタボリックシンドロームを重大リスクとするなど、現在の日本人の病態に適応させる配慮がとられた。今回のシンポジウムでは以上の経緯をふまえつつ、本ガイドラインが診療現場で用いられる中で新たに見えてきた課題を探索し検討することを目指したい。なかでも、LDL-C測定方法、脂質異常症と脳卒中リスク、高齢者ならびに糖尿病患者の脂質管理のあり方は今後一層の検討を要することから、これらの分野におけるわが国の代表的な方々に現況と問題点を論じていただく。さらに、LDL-C直接測定法については、米国NIHで検証が行われてきたが、その中心的役割を担ったAlan T. Remaleyを招聘し解析結果を含めて講演いただくことにした。本シンポジウムではこれらトピックに関する最新成果を共有し、今後の脂質管理の方向を探る提言の場としたいと考える。

・ 生活習慣病対策フォーラム

 座長:河村 康明 先生(山口県医師会)
廣部 一彦 先生(みずほ大阪健康開発センター)
● テーマ:
 「働く世代の心血管疾患(過労死)予防とリスク管理」
● 日 時:
 2009年7月18日(土)16:00~18:00
● 会 場:
 海峡メッセ下関 第5会場(8階 801会議室)
● 講 演:
 1. 在職死亡統計と過重労働 (20分)
 堀江 正知 先生(産業医科大学産業生態科学研究所 産業保健管理学教室)
 2. 職域における生活習慣病予防対策の実際 (20分)
 土肥 誠太郎 先生(三井化学株式会社 本社健康管理室)
 3.働く世代の高血圧対策 -新ガイドライン(2009)を中心に- (20分)
 萬 忠雄 先生(山口県医師会)
 4.職域におけるメタボリックシンドローム対策と禁煙サポート(20分)
 廣部 一彦 先生(みずほ大阪健康開発センター)
● 総合討論および質疑応答 (40分)


ページの先頭へ