会長挨拶
 本年度名古屋で開催の第67回日本癌学会学術総会は、癌の予防・早期発見、がん医療の均てん化、がん研究の促進を3本柱として昨年4月に成立した「がん対策基本法」のもと、日本中でがん対策に関する新しい取り組みが始動し始めた中で開かれます。がん対策が法として定められ、国家的課題であると明確に位置付けられたなかで、わが国のがん研究のリーダーシップを担う本学会の重要性は従来にも増して大きなものがあります。

折しも、本年は名古屋で日本癌治療学会総会(会長大阪市立大学医学研究科腫瘍外科学平川弘聖教授)と同時期開催が実現し、まさに時機を得た画期的な学会総会が実現することになりました。この期間には日本のがん研究者、がん医療従事者が一堂に名古屋に会することになります。癌学会総会のキャッチフレーズは“未来への懸け橋”-Blazing a trail to the future-、両学会共通のキャッチフレーズとして“がん研究から医療への実践”-From cancer research to comprehensive treatment-とさせて頂きました。会期は、2008年10月28日から30日までが癌学会、30日から11月1日が癌治療学会総会とし、30日には特別合同シンポジウムを計画しています。合同シンポジウムとしまして、午前の部では「がん対策基本法」が行政、医療界、社会でどのように取り組まれ、今、何が問題かを徹底討論していきます。午後の部では、癌学会から、「がん研究が何処まで進んでいるか」、癌治療学会から、「がん治療の最前線」を提示し、パネリストにがん研究・治療の将来と夢を語っていただきます。 本学会の特別講演では、がん幹細胞、リンパ系腫瘍、免疫とがん、ウイルスとがんと言う興味深い研究テーマより国内外から4名の著名な研究者を招待しています。総演題は2258題を採択し、両学会共通参加費を利用されれば癌治療学会と併せて約4300題の研究発表を目にすることが出来ます。また、昨年から始まった国際化対応として、学会抄録と発表スライド(ポスター)はすべて英文化を踏襲し、特にInternational (English) Sessionでは東南アジア、欧米を合わせて129演題、23のセッションを開催し、英語での発表・討議を行います。本学会が、最高のCancer Academiaとしてがんの基盤的研究から先端治療までの進捗状況を実感、そして鳥瞰し、将来のがん研究・医療に一層の希望をもたらす一里塚(milestone)となることを夢見ております。

一方で、今回の両学会の名古屋同時期開催は、研究者だけではなく、広く市民、患者さん、そして医療従事者、学生と一緒に学習する絶好の機会となることを願いました。そこで、がん対策基本計画の精神に沿いながら日本対がん協会を始め、両学会の協力のもと、「Cancer week 2008実行委員会」を組織し、様々な啓蒙・教育イベントを募りました。その結果、草の根として多くの医療関係者、患者会、大学、医師会等のご賛同が得られ、市民公開講座、がん相談支援セミナーをはじめ、19ものプロジェクトが採択され、9月初旬より11月に亘って開催される事になりました。 皆様のニーズに合わせながらご参加いただき、がん患者さん、そしてご家族の"がん難民化"を防ぎ、暖かく安心できるがん医療の実現に向けて、その一助として共に考える機会にしていきたいと思います。 最後に、本学会の成否は、ご参加される皆様の熱意ある、そして真剣、積極的なご発表、ご討議にかかっているのは、言うまでもありません。あらためて、ここに皆様からの熱いご支援、ご協力をお願いする次第であります。
       
第67回日本癌学会学術総会会長
上田 龍三
名古屋市立大学大学院医学研究科 教授