2013年10月3日(木)-5日(土) パシフィコ横浜 会長:中村祐輔

会長挨拶

がんは1981年にわが国の死亡原因の第1位となり、その後30年以上にわたってその座を維持しています。高齢化に伴ってがんの新規診断数は増加の一途をたどり、今や日本人の二人に一人が罹患し、三人に一人の死因となっている国民病となっています。2012年には約35万人ががんで亡くなっていますので、この国で毎日約1000人ががんという病気で命を落としていることになります。2025年には、さらに増加し、日本での死亡原因の半分ががんになると予測されています。この難治性のがんを克服するため、日米など主要先進国では数十年にわたって国家的レベルでその対策を講じつつあります。その結果、「がんを知る」研究は飛躍的に進み、これらの情報をもとに分子標的治療薬、抗体医薬など多くの画期的な新規抗がん剤が開発され、診断技術の向上と相まって、予後が大きく改善されたがんも少なくありません。しかし、わが国においては、基礎研究の成果が国際的なレベルにあるにもかかわらず、それが新規医薬品の開発にはつながらない状況が続いているため、2000年以降医薬品全体の輸入額が急増し、2012年には輸入から輸出を差し引いた赤字額は1兆5千億円を超えています。その一因となっているのが、米国FDAが承認した40種類を超えるがん分子標的治療薬(抗体医薬を含む)に日の丸印のものが存在しない点にあります。海外における新規抗がん剤の開発はますます加速されており、当然ながら、このような状態はドラッグラグの拡大を招き、がん難民、そしてその家族の苦悩へとつながります。

高齢化によるがん患者数の増加、増え続ける医療費、医薬品の海外依存度の拡大という国家的な課題に対応するためには、患者、医療従事者、研究者、企業、行政が一体となってがん対策に取り組むことが重要だと思います。がんの予防・診断・治療の大きなパラダイムシフトが起こりつつある中、がん研究の意義や研究者が何をすべきか、社会とどのように向き合うべきなのかを改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。日本のがん研究の成果が、がん治療を向上させ、世界中のがん患者の希望につながっていく、そのターニングポイントになる学会となることを願っております。

第72回日本癌学会学術総会
会長 中村祐輔

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