2014年9月25日(木)~27日(土) パシフィコ横浜 学術会長:野田哲生

会長挨拶

がんを知り、がんを制する
Deeper insights into cancer biology bringing cures for cancer patients

がん研究は生命科学の発展を牽引し、生命のメカニズム解明とともに、がんの発生・進展の分子機構の理解も大きく進んできました。慢性骨髄性白血病治療薬のイマチニブを始め、こうした知見に基づき開発された分子標的薬が、実際のヒトがんの治療に大きな効果を示している事実は、がんの本態を理解することが、必ずがんの克服に繋がるということを、我々にあらためて教えています。しかし、かつて人類が経験したことのない高齢化社会を迎えて、国民の半数ががんで亡くなるという時代が到来しつつある日本において、現在でも、難治がんや再発がんを始めとして、有効な治療法が存在しないがんが、いまだ数多く存在するという現状があります。そこで、今回の日本癌学会総会では、近年の生命科学の著しい進展とその成果を踏まえて、改めて、がんの発生と進展のメカニズムをより深く、より多角的に理解することにより、新たながん医療のシーズとなるべき画期的な知見を育むとともに、そのような革新的医療シーズを実際の医療現場に速やかに届けるため、先進的な手法を応用した研究開発を一層加速させることを目指し、「がんを知り、がんを制する」と題して、学術総会のプログラムを企画しています。

また、われわれ、がん研究者が推進する全ての研究は、研究者のための研究であってはならず、今、がんに苦しむ多くのがん患者さんを治癒させるため、そして、次世代のがん患者さんを生まないための研究でなくてはなりません。日本癌学会では、がん研究者がこうした意識を強く持ち続けるために、第69回の学術総会において、「国民との協働」を謳った大阪宣言を採択しました。そして、その意識は第72回学術総会のタイトル「がん患者の希望につながるがん研究」にも引き継がれています。そして、今回の第73回学術総会のタイトルである「がんを知り、がんを制する」にも、がん研究者のみならず、がん患者さんと家族、そして健康な市民の方々まで、社会の全ての人々が「がんを知る」ことが、かならず近い将来「がんを制する」社会を作り上げることにつながるという意識も込められています。

今回の学術総会が、がんの本態に関する研究者の理解を一層深化させ、日本発の画期的な次世代がん医療の創生に繋がることを願っています。

第73回日本癌学会学術総会
会長 野田 哲生

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