プレナリーセッション
〔80回記念企画〕〈英語〉

カテーテルアブレーション:現状と近未来の方向性
Catheter Ablation: The Current Status and the Future Direction

国内座長: 青沼 和隆(筑波大学 循環器内科)
1981年,初めて直流カテーテル房室結節アブレーションが行われ,1985年臨床で最初の副伝導路高周波アブレーションが施行されてから,既に30年以上が経過した.それ以来,可変式カテーテルの開発,至適高周波エネルギーの設定,通電中のカテーテル冷却法の確立など,医用工学上の多くの急速な進歩と,各種頻脈性不整脈の臨床電気生理学的研究の革新的進展に伴い,カテーテルアブレーション成功率の劇的な改善と合併症の減少が得られ,現在においては各種の上室性頻拍,心房粗動,心室期外収縮など多くの不整脈治療のカテーテルアブレーション治療は,既に第一選択治療として確立された感がある. 21世紀に入って,頻脈性不整脈の治療研究における関心は,より複雑な電気生理学的機序を有する心房細動,心室頻拍,更には心室細動などに移行し,現時点における研究対象は難治性頻脈性不整脈へと,変化している.2015年,既にクライオ・レーザー・温熱などの方法によるバルーンカテーテル肺静脈電気的隔離術が確立され,更には複雑な電気生理学的機序を有する難治性不整脈に対する新たな非侵襲的・侵襲的マッピング法についても多くの研究が開始されており,今後はこれ等の難治性不整脈に対するより確実な治療法の確立が,議論の中心となると考えられる.また,心臓CT,心臓 MRイメージングによってもたらされる組織病態生理学的研究が,新たな不整脈基質の解明につながり,今後の難治性不整脈根治への道筋に光明を放つ可能性もある.本セッションでは,これら複雑な機序を有する難治性頻脈性不整脈に対する革新的アブレーションの方法論,更にはその複雑な機序を理解するための概念等,今後の方向性を示すに足る,素晴らしい発表を期待しています.多くの応募を歓迎いたします.