プレナリーセッション
〔80回記念企画〕〈英語〉

脂質異常症治療の現状と近未来
Future Direction of Lipid-Modifying Therapy

国内座長: 朔 啓二郎(福岡大学 心臓・血管内科学)
動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD)の一次・二次予防は,スタチンによる脂質低下療法によりある程度可能になったが,解決できない多くの問題が残存する.つまり,高用量スタチン療法にもかかわらず残存するリスクにどう対処すべきなのか,LDL-Cはどこまで下げるか,non-HDL-Cの位置づけ,中性脂肪および HDL-Cへの介入等である.2013 ACC/AHA血中コレステロールのガイドラインを実臨床でどのようにとらえるか,それに対して,最近米国では The National LipidAssociationのガイドラインでは non-HDL-Cの重要性や治療ターゲットを示している.現在までに得られたエビデンスを確認し,様々な病態における脂質異常症治療の可能性を探りたい.リポ蛋白のさらなる亜分画分析からのリスク因子の探索,HDLや HDL関連の機能を増強するための方略,HDL-C増加薬,アポ A-I模倣ペプチドの展望,様々な脂質膜輸送体の機能からのアプローチ,脂質転送蛋白阻害薬の現状と対策,抗酸化・抗炎症機能の分子機構のさらなる解明,内因性・外因性中性脂肪代謝への対策,PCSK9抗体の現状,メタボリックシンドローム,糖尿病,慢性腎臓病など,各種病態への対応や,創薬の可能性と実際をディベートする.また,様々な脂質低下治療薬のコンビネーションの実際,サロゲートとハードエンドポイントでの評価,心・血管病臨床におけるバイオマーカーの探索から,脂質修飾薬開発の最新情報と近未来の可能性について包括的にとらえたい.