プレナリーセッション
〈英語〉

循環器疾患における性差医療─Up to Date─
Gender-Specific Medicine in Cardiovascular Disease
─Up to Date─

国内座長: 瀧原 圭子(大阪大学 保健センター)
性差医療とは,発症に男女差がある,病態が男女で異なる,発症率は同じでも臨床的に差がある,あるいは治療効果に差があるといった疾病において,それぞれの性を考慮して疾病の予防,診断,治療を行う医療である.2010年に日本循環器学会が初めて「循環器領域における性差医療に関するガイドライン」を発表し,循環器診療への貢献が期待されたが,未だその認知度は必ずしも高いとはいえない.循環器疾患の中でも心筋梗塞,心不全などの心疾患や脳血管疾患はイベント発生頻度が高く,社会的影響も大きいことから,大規模な疫学研究や一次・二次予防に関する臨床介入試験が多数実施されているが,性差に基づく解析は十分とはいえず日本人女性についてのエビデンスは極めて乏しい状況といえる.さらには,疾患によっては男女で同じように治療をうけても,異なる結果が生じる可能性も指摘されている.歴史的に性差医療の概念が最も早く確立したのは米国であり,その中心となったのが循環器疾患であった.今回,女性の心臓病研究の第一人者である Merz先生を迎え,循環器領域における性差医療を広範な観点から議論していただき,日々の臨床に役立てていただくこと,さらには本セッションが我が国における循環器疾患の性差医学・医療研究の起爆剤となることを期待したい.