プレナリーセッション
〈日本語〉
弁膜症に対する非侵襲的治療の進歩
Progress in Less Invasive Approach to Valvular Heart Diseases
国内座長: |
山本 一博(鳥取大学 病態情報内科学) |
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澤 芳樹(大阪大学 心臓血管外科学) |
我が国では社会の高齢化とともに大動脈弁狭窄症が増加を続けており,これに伴って高齢患者に対する大動脈弁置換施行件数も増加を続けている.しかしながら高齢患者が多いこともあり,大動脈弁狭窄症としては手術適応であるものの併存疾患や frailtyなどのために手術リスクが高いと判断され開心術が見送られてしまう例も少なくなかった.このような手術リスクの高い患者を対象とする低侵襲治療として経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVR)が我が国でも保険償還され,認定施設において実施されている.既に PARTNER試験では,手術不能例の内科的治療に対する有用性とともに,手術高リスク症例における AVRに対する TAVRの非劣勢が示され,欧米のガイドラインにも明記されている.一方,高リスクの僧帽弁閉鎖不全症,特に高度な心機能低下を有する症例に対する僧帽弁手術における外科治療戦略は未だ確立されていない.最近,欧米では非侵襲的治療として MitraClip.が承認され,我が国でも間もなく治験が開始されるが,EVEREST II試験の結果ではその有用性が確立しているとは言い難い.本セッションでは,このような弁膜症に対する非侵襲的治療法について,その安全性や有用性を従来の外科治療との比較からも議論し,弁膜症治療に対する次世代治療法の確立の一助となればと考える.