プレナリーセッション
〔80回記念企画〕〈英語〉

肺高血圧診療における進歩と未来
Progress and Future in Pulmonary Hypertension Clinic

国内座長: 伊藤  浩(岡山大学 循環器内科)
肺高血圧症 (PH)の治療の進歩には目覚ましいものがある.肺動脈性肺高血圧 (IPAH)は 3系統の薬剤の併用に加え PGI2の大量持続静注により,肺動脈圧を低下させ,生命予後の改善が得られるようになってきた.新薬も次々と開発され,循環器の中でも最もホットな領域の一つと言える.慢性肺動脈血栓塞栓症 (CTEPH)に対する根本治療は外科的に行われる肺動脈内膜切除術である.その適応にならない末梢病変に対して balloon pulmonary angioplasty(BPA)が行われるようになり,顕著な臨床効果が報告されている.膠原病に合併する PHも早期治療介入の有用性が報告されている.しかし,解決すべき問題は多い.肺血管床の中でも毛細血管や静脈に主病変のあるPCH,PVODの生命予後はいまだに不良である.IPAHも治療目標をどのように設定するか,どのような薬剤の組み合わせがベストか,統一した見解がないのが実情である.最近増加している成人先天性心疾患の PHも大きな課題である.Fontan手術患者の肺動脈圧はどの程度が良いのか,PHを合併する短絡性心疾患には treat & repairが良いのか,あるいは repair & treatもあり得るのか.膠原病の中でも systemic sclerosisに合併する PHの治療はどのようにしたら良いのか.続々と新しい知見が得られつつある PHの病態から,最新の治療成績,そして新しい治療法の開発まで,up-to-dateな話題とともに PH診療の未来像を論じることのできるセッションとしたい.