シンポジウム
〈日本語〉

コホート研究・臨床試験から見えてきた HFpEFの課題
Unsolved Issues in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction (HFpEF) Based on Cohort Studies and Clinical Trials

国内座長: 筒井 裕之(北海道大学 循環病態内科学)
斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第一内科)
心不全を対象とした疫学研究によって,左室駆出率が保持された心不全 (heart failure withpreserved ejectionfraction:HFpEF)が,心不全全体の約30~50%を占めることが明らかとなった.HFpEF患者は,EFが低下した心不全(heart failure with reduced ejectionfraction:HFrEF)に比し,高齢者,女性,高血圧の割合が高いことが知られている.さらに,コホート研究によって HFpEFの死亡率は HFrEFと大差はなく,同様に予後不良であることも知られている.一方で,現在までに行われたCHARM-Preserved,PEP-CHF,I-PRESERVE,TOPCAT,J-DHFなどの大規模臨床試験では,HFpEFの生命予後を改善する治療薬のエビデンスは得られていない.今まで,数多くのコホート研究や臨床試験が取り組まれてきたにもかかわらず,HFpEFの臨床像の理解や有効な治療法の確立は重要な研究課題として残されている.本シンポジウムでは,HFpEFを対象としたわが国における基礎・臨床・疫学研究の最新の取り組みを紹介いただき,HFpEFの残された課題について議論を深めたい.