シンポジウム
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二次予防コホートによる介入の効果比較研究
New Strategy for the Secondary Prevention after Acute Coronary Syndrome Based on Cohort Studies

国内座長: 平山 篤志(日本大学 循環器内科)
小川 久雄(国立循環器病研究センター)
急性冠症候群の初期治療において,ステントを含めたカテーテル治療による再灌流治療が広く行われるようになったことに加え,抗血小板薬やスタチンの使用などのエビデンスに基づいた薬剤の使用によって,急性期予後は大きく改善され,急性冠症候群においては早期から長期予後の改善が目標となっている.これまで,二次予防としては,ステント後の抗血小板薬,スタチン,そしてβ遮断薬の投与などがエビデンスとして示され,時代とともに使用される患者の割合も増加している.しかし,一方でステント植え込み後の抗血小板薬の二剤投与 (DAPT)の適切な期間については一定の見解が示されず,またβ遮断薬のエビデンスは再灌流療法以前の試験によるもので,再灌流療法時代にマッチするかどうかは不明である.また,スタチンについてもあくまで LDL-コレステロール値のコントロールを目的とした使用で,最近の AHA/ACCガイドラインに沿った Fire andForgetに従ったものでなく,また LDL-コレステロール値の目標値も 100mg/dLと欧米に比較して高値となっている.エビデンスがあるといっても,実際の臨床現場では,まだ解決できていない問題がある.よりベストな二次予防を目指すには,ランダム化比較試験などの介入研究は困難であることから,コホート研究をベースにして効果的な方法を見出すことが重要である.本シンポジウムでは,各地で行われているコホート研究のデータベースに基づいて新たな二次予防の提案をしていただければと考えている.