シンポジウム
〈日本語〉

成人先天性心疾患をどのように評価し治療するか
─基礎から最先端まで
How Should We Evaluate and Manage Adult Congenital Heart Disease?
─From Basic to Cutting-Edge Issues

国内座長: 白石  公(国立循環器病研究センター 小児循環器部)
赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
最近の先天性心疾患の診断および治療技術の目覚ましい進歩により,多くの先天性心疾患患者が救命され,90%以上が成人期に到達するようになった.成人先天性心疾患患者数は全国で40万人に到達し,現在では,循環器内科領域において看過できない診療分野となりつつある.小児期に比較的無症状に経過した患者も,成人期に入り年齢を重ねるにつれて,心不全や不整脈など新たな症状が出現するようになる.成人先天性心疾患患者では,心臓本来の構造異常だけでなく,術後の遺残症や続発症に基づく血行動態が患者ごとに大きく異なるため,患者の病像を理解して適切な治療に結びつけるためには,心大血管の立体構造と血行動態を正確に評価しなければならない.心血管系の形態・機能診断には,心エコー検査とともに,心血管造影,MSCTやMRI,核医学検査,運動耐容能,電気生理学的検査など,一人の患者に多方面からアプローチする必要がある.さらに成人先天性心疾患患者の多くは,左心系の異常だけではなく,肺循環異常,右心不全,肝障害,腎障害などの異常などをしばしば合併するため,それらに対する評価も必要となる.今回のシンポジウムでは,このような複雑な病態を示す成人先天性心疾患患者の診断と適切な治療法の判断について,基礎的な知識から最先端の知見まで,広くディスカッションする予定である.