シンポジウム
〈日本語〉

重症虚血肢治療戦略の up-to-date
An Update on Therapeutic Strategies for Japanese Patients with Critical Limb Ischemia

国内座長: 東  信良(旭川医科大学 血管外科学)
中村 正人(東邦大学医療センター 大橋病院循環器内科)
重症虚血肢治療は,血管内治療の進歩・普及とともに,血行再建とその後の創傷治療の重要性が認識され,一部では外科治療との役割分担の必要性も認知されて集学的治療も進んできている.しかしながら,患者の下肢状態・血管病変・全身状態・背景疾患・予後における複雑性や多様性の理解が進んでおらず,関わる診療科や医療者も多岐にわたるため,患者状態に対応した適切な治療選択がなされているとは言い難い.日本の重症虚血肢の特徴や社会的背景を理解した上で,治療選択においてどのようなコンセンサスが形成されているのか,どのようなアルゴリズムで血行再建可能かを判定し,血管内治療あるいは外科治療を適用すればよいのかについて,最新の臨床研究の情報を中心に議論を深めたい.また,治療のアウトカムの一つである救肢に留まらず,その先にある潰瘍治癒や機能予後に関する最新知見も興味深いところである.血管病の末期といわれ,まだまだ成績不良の重症虚血肢の治療成績向上のために,今後どのような研究や体制づくりが必要であるか,将来を展望できるような議論に発展することを期待する.