シンポジウム
〈日本語〉

循環器疾患予防に向けた糖尿病治療
Treatment of Diabetes Mellitus to Prevent Cardiovascular Disease

国内座長: 倉林 正彦(群馬大学 臓器病態内科学)
湊口 信也(岐阜大学 循環器内科)
循環器疾患の中でも急性心筋梗塞などの虚血性心疾患は罹患率・死亡率の高い疾患である.糖尿病は虚血性心疾患のリスクファクターであり,特に心筋梗塞については正常者に比較して新規発症率は5.7倍,再発率は2.4倍ときわめて高率である(Finnishstudy).そのため,糖尿病治療を行う場合は,虚血性心疾患,特に心筋梗塞の発症予防を目的とした治療を考慮する必要がある.しかし,血糖値を低下させる治療法により HbA1Cを低下させればさせるほど,細小血管障害の頻度は低下するが,心筋梗塞の頻度はそれほど顕著な低下を示さないという報告 (UKPDS)もある.さらに,糖尿病による心血管病の発症は,空腹時血糖よりもむしろ食後血糖の値が高いことが大きなリスクになるとの報告 (FunagataStudy)もある.したがって,糖尿病治療により冠動脈硬化の進展防止,プラークの安定化を図り,心筋梗塞の発症を低下させることが重要である.さらに,たとえ発症したとしても,あらかじめ服用していれば梗塞サイズを縮小させることができる pharmacologicalpreconditioning効果を示す抗糖尿病薬の使用も考慮すべきである.したがって,本シンポジウムでは,心筋梗塞の発症を防ぐための糖尿病治療について基礎から臨床まで,新規の最先端治療法開発も含めて議論していただきたい.