シンポジウム
〈日本語〉

心筋症の基礎と臨床:新しい視点からの展開
Basic and Clinical Aspects in Cardiomyopathies:
New Viewpoints and Future Direction

国内座長: 磯部 光章(東京医科歯科大学 循環制御内科学)
山岸 正和(金沢大学 臓器機能制御学・循環器内科)
肥大型心筋症(HCM)の原因として,心筋サルコメア遺伝子が関わることが報告されて以降,Z帯構成蛋白・細胞骨格構成蛋白・カルシウムハンドリング関連蛋白をコードする様々な遺伝子が,HCMのみならず,各病型心筋症の病因遺伝子として報告された.更に,次世代シーケンスと呼ばれる効率の高い遺伝子解析法が急速に発展し,従来の関心領域とは全く異なる新規領域の病因遺伝子が今後発見される可能性が示されつつある.一方で,遺伝子変異から心筋症を発症する機序は一部解明されつつあるものの,機能障害との関わりについては十分には明らかとなっていないことも多い.例えば HCMにおいては,遺伝子改変動物モデルを用いた基礎研究により,主にカルシウムハンドリング関連分子の関与が明らかになりつつあるがその全容が解明された訳ではない.今後急速に増加すると考えられる心筋症の遺伝子情報に,機能解析実験を追加することで新たな心筋症発症機序の解明も望まれる.また,遺伝子解析法の発展と並行して,心臓 MRIをはじめとする画像診断法の発展により,従来の方法では気付かれなかった心筋症の新たな臨床表現型も相次いで報告されるようになった.本シンポジウムでは,遺伝子解析から画像診断,トランスレーショナル・リサーチまで多岐にわたり,心筋症の新しい視点から知見を発表していただくとともに,今後の新たな展開を論議したい.