シンポジウム
〈日本語〉

最新ゲノム医学から探る心血管システムの分子基盤
~発生から病態まで~
Emerging Trends in Advanced Genomic Medicine to Elucidate the Molecular Basis of the Cardiovascular System:
From Development to Disease

国内座長: 南野  徹(新潟大学 循環器内科)
尾池 雄一(熊本大学 分子遺伝学)
人間の生命活動の基本設計図であるヒトゲノムが解読されて以来,様々な疾患発症機構の分子基盤を解明する研究が大きく前進した.その一つとして,大きな集団を対象に個体間のゲノムの差異と表現型の差異を関連づける Genome-wide association study(GWAS)が行われ,疾患感受性遺伝子の同定などゲノムの多様性の理解が進み,パーソナルゲノム医療の実現に寄与してきている.また,microRNA(miRNA)や long non-coding RNA(lincRNA)など,タンパク質をコードしないゲノム配列の転写産物である非翻訳 RNAの存在が明らかとなり精力的な研究が行われ,様々な疾患発症との関連が解明されてきている.さらに,生命活動要素としてのゲノム配列に加えて,その修飾を介した転写制御(エピゲノム制御)による RNA合成,タンパク質合成とその翻訳後修飾,さらにその代謝産物の制御などを包括的に解析するオミックス (omics)研究によって,より深く体系的に生命現象や疾患の発症機序の理解が進められている.さらに最近,自身の百倍超にも及ぶ遺伝子数を有するヒト常在菌叢(マイクロバイオーム)のゲノム産物が様々な生命現象に関与していること,その構成は,一卵性双生児でも異なるなど同じヒトはいないことなどが報告され,マイクロバイオームの遺伝子の多様性と循環器疾患を含めた様々な疾患発症との関連が解明されてきている.このようなゲノム医学の急速な展開をふまえ,本シンポジウムでは,循環器疾患克服への布石となるような研究成果を,心血管システムの発生から病態解明までを含んだ幅広い領域から公募したい.