シンポジウム
〈日本語〉

抗血栓療法新時代
New Era of Antithrombotic Therapy

国内座長: 宮崎 俊一(近畿大学 循環器内科)
奥村  謙(弘前大学 循環呼吸腎臓内科学)
非弁膜症性心房細動(NVAF)に起因する心原性脳塞栓症および静脈血栓塞栓(VTE)の発症予防,再発予防において,従来のワルファリンに対する非ビタミン K拮抗性経口抗凝固薬(NOAC)の有効性,安全性が大規模臨床試験およびそのメタ解析で示された.これに基づき多くのガイドラインがワルファリンよりも NOACが望ましいと位置づけ,時代は NOACへとシフトした.ではリアルワールドで NOACはどのように使用され,その有効性,安全性は臨床試験と同様だろうか.特殊な条件下(除細動時,カテーテルアブレーション周術期,急性冠症候群発症後および PCI術後,出血リスクを伴う処置・治療など)で NOACはどのように使用すべきなのだろうか.患者背景はどのように影響するのだろうか.一方,冠動脈疾患に対する抗血小板療法,さらに心房細動合併例に対する抗凝固療法の適用法も再考されつつある.従来は薬物溶出性ステントを用いた PCI後,抗血小板薬 2剤 (DAPT)を少なくとも 1年以上継続投与すべきと考えられていたが,数ヶ月程度の期間で良いという考え方も示されている.最近の DAPT studyはより長期の DAPTがイベント抑制に有効と報告している.NVAF合併例に対する抗血栓療法の適用法は未だ確立されていず,併用の期間,抗凝固薬の選択法など,解決すべき課題は多い.本シンポジウムでは,新時代を迎えた抗血栓療法をリアルワールドで直面する様々な状況においてどのように適用するか議論し,より有効かつ安全な使用法を見出す一助としたい.