シンポジウム
〈日本語〉

睡眠呼吸障害診療の最前線
Front Line of Sleep Disordered Breathing Management

国内座長: 伊藤  宏(秋田大学 循環器内科学・呼吸器内科学)
百村 伸一(自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器科)
循環器領域においては様々な心血管疾患に睡眠呼吸障害を高率に合併することが知られている.睡眠呼吸障害のなかでも閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA)は複雑な機序を介して心血管疾患の発症および進展に関与する.OSAの治療は生活習慣の改善を基本とするが重症例では CPAPが最も強力な治療法で,CPAPで重症 OSAを治療することにより心血管イベントが減少することはほぼ確実である.ただし CPAPにはコンプライアンスの点で問題があり,そのような症例では口内装具も試みられる.また,CPAP以外の様々な新しい治療法も試みられている.一方,循環器領域における中枢性睡眠時無呼吸 (CSA)は殆どの場合,心不全の結果もたらされる病態であると理解されている.CSAの治療としては心不全そのものの治療の最適化に加えて,陽圧治療とくにASV,夜間酸素吸入などがある.これらのうち最も強力な CSAの治療機器である ASVについては最近行われた大規模臨床試験で左室駆出率の低下に基づく,CSA合併心不全の心血管死亡をかえって増加するという結果が出され,混乱を招いている.新しい治療法とも試みられており横隔神経刺激が注目されている.このシンポジウムでは閉塞性,中枢性を問わず我が国の睡眠呼吸障害診療の最前線に関する発表を通して今後の睡眠呼吸障害診療の方向性を探る.