第80回日本循環器学会学術集会

速報

東日本大震災復興 5周年企画展示 -東日本大震災と医療・復興への歩み-
2016年3月18日(金)12:30~13:00 第18会場(東北大学百周年記念会館 川内萩ホール)
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3月18日正午、東北大学萩ホールにて「東日本大震災復興5周年企画展示-東日本大震災と医療・復興への歩み-」が開催されました。
式典に先立ち、天皇・皇后両陛下がお出ましになられ、震災後の5年にわたる医療者の復興の歩みをパネルにて御紹介し、両陛下より多数の御質問・お言葉を賜りました。
式典には東北大学総長 里見進先生、第80回日本循環器学会学術集会会長 下川宏明先生、日本循環器学会代表理事 小川久雄先生、前代表理事 永井良三先生、宮城県医師会会長 嘉数研二先生、石巻市立病院副院長 赤井健次郎先生、滝田医院 滝田有先生、東北大学大学院医学系研究科准教授 伊藤健太先生が登壇され、その他多くの医療関係者の方々が参列されました。
会長の下川先生より、震災時には里見総長(当時東北大学病院長)の「被災地の医療を疲弊させるな」という号令のもとに多くの医師が被災地の医療に取り組んできたことが紹介され、災害は循環器疾患と同じように予測が難しく、将来的に減災や救急医療の充実が重要であることを強調されました。さらに、今回の震災では従来の震災に比し、心不全患者、PTSD患者が激増し、PTSDが心血管イベントにつながることを紹介されました。最後に今回の震災を通し日本人の底力が確認され、震災5周年を機会に自然災害と循環器医療について改めて学ぶ良い機会であると述べられました。
赤井先生は石巻市立病院の経過と再建の状況について報告されました。震災当時の被害は甚大であり孤立無援となりましたが、多くの人々の援助を受けて乗り越え、同年5月には仮設診療所が開設されました。震災から5年が経過し、平成28年9月1日に新病院の再建開院が決まり、震災復興は道半ばであるが地域の役に立っていきたいと決意を述べられました。
滝田先生からは大船渡市の被災状況とその後の経過の報告がありました。御自身も被災されましたが、岩手県の援助を受けプレハブの仮設診療所で診療を続けられた様子を話されました。また、震災を契機にICT地域医療情報連携システムと地域介護力を柱とした「未来かなえ機構」を設立し、犠牲者からの“命のメッセージ”が私たち一人ひとりに届いたことが「未来かなえ機構」設立につながったと語られました。
多くの方々が式典に参列し、震災後5年の我々医療者の復興の歩みを再確認するとともに、未来への希望を感じ取ることができる有意義な式典であったと思われます。

文責:鈴木、笠原(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

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