第80回日本循環器学会学術集会

速報

真下記念講演
2016年 3月19日(土) 11:10~11:55 第1会場(仙台国際センター会議棟 1/2階 大ホール)
写真

座長:
 篠山 重威(宇治病院)
演者:
 山本 雅之(東北大学 医化学分野/東北メディカル・メガバンク機構)

3月19日午前、第1会場において、真下記念講演が行われました。本年の真下記念講演は、座長は篠山重威先生(宇治病院名誉院長)が務められ、山本雅之先生(東北大学医化学分野/東北メディカル・メガバンク機構)が「The Keap1-Nrf2 System Regulating Oxidative Stress Response」のテーマで講演されました。山本先生の研究室では、化学・分子生物学的な解析とマウス発生工学的手法による個体レベルの解析、さらには構造生物学的なアプローチも取り入れて、多角的にKeap1-Nrf2システムによる分子レベルの制御機構とその生理機能を解明し,世界をリードし続けています。Nrf2は環境中の有害な親電性物質と活性酸素種に応答して、細胞防御酵素の発現を活性化する転写因子です。定常状態では、Nrf2は Keap1に捕捉されプロテアソームによって分解されています。生体に環境ストレスが加わると、親電性物質によるKeap1のシステインの修飾が起こり、結果としてNrf2が安定化し、抗酸化・解毒代謝遺伝子群の発現が活性化されます。Nrf2に着目された経緯、Keap1によるNrf2の制御機構の解明、Nrf2ノックアウトマウスを用いた各種疾患モデルでの検討、Keap1-Nrf2システムを標的とした新規薬剤治療の可能性に関してお話がありました。循環器分野においても、Nrf2の発現を上昇させる薬剤が肺高血圧症、圧負荷心不全、虚血再灌流傷害のマウスモデルにおいて有効であるとのお話がありました。環境ストレスへの応答の破綻がいかにして慢性炎症を誘導するか、非常に興味深い講演となりました。最後に篠山先生より山本先生に表彰と記念品の授与が行われました。

文責:砂村、大槻(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

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