第80回日本循環器学会学術集会

速報

会長特別企画8
30th Anniversary of NO Research: What Have We Learned and Where to Go
2016年 3月19日(土) 14:40~16:10 第5会場(仙台国際センター会議棟 2階 桜2)
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座長:
 平田 健一(神戸大学 循環器内科学)
 Zvonimir S. Katusic(Mayo Clinic, USA)
演者:
 Paul M. Vanhoutte(University of Hong Kong, Hong Kong)
 Richard Cohen(Boston University School of Medicine, USA)
 筒井 正人(琉球大学 薬理学)
 Thomas F. Lüscher(University Hospital Zurich, Switzerland)
 Virginia Miller(Mayo Clinic, USA)

一酸化窒素(NO)は、重要なシグナル伝達分子として、その詳細なメカニズムのみならず動脈硬化、心不全、肺高血圧症などの病態生理との関連が解明されつつあります。3月19日午後、NO発見30年を記念し、神戸大学の平田健一教授、Mayo クリニックのZvonimir S.Katusic教授の座長の下、NOのこれまで歴史と最新の知見について、第一線で活躍されている先生方が御講演を行いました。
香港大学のPaul M. Vanhoutte教授は、環境汚染、喫煙等の環境因子、高血圧、糖尿病等の生活習慣病によるバイオアベイラビリティの減少により、NOの善玉としての役割が減少しつつある一方で、cyclic IMP上昇に伴う冠動脈過収縮反応増大におけるNOの悪玉としての役割についての最新の知見を報告し、NOの心血管病における新たな治療標的としての可能性を提唱しました。(スライド1)
Boston大学のRichard A. Cohen教授は、タンパク質の翻訳後修飾作用などNOの生化学的な特性がスーパーオキシドとの協調により綿密に制御され、細胞内カルシウムシグナル、各成長因子、血管新生などのホメオスタシスの維持にNOが重要な役割を果たしていることを発表しました。(スライド2,3)
琉球大学の筒井正人教授は、神経型、誘導型、内皮型のNO合成酵素(NOS)を全て欠損させた遺伝子改変マウスが心筋梗塞の自然発症、脂質異常症、耐糖能異常を呈する一方で、脳梗塞サイズの減少、気管支炎症の軽減等の表現型を併せ持つことから、種々の病態においてNOSが多面的作用を持つことを発表しました。(スライド4,5)
Zurich大学病院のThomas F. Luscher教授は加齢と遺伝子、内皮機能をテーマに、p66shcsirt1等の長寿関連遺伝子に加えて転写因子junDが内皮機能の調節を介して動脈硬化の進展に関与し、加齢のプロセスに重要な役割を果たしていることを報告しました。(スライド6)
最後に、Mayo クリニックのVirginia M. Miller教授は、ホルモン補充療法の心血管系疾患に対するNOSを介した保護的作用について、動物実験、臨床試験の結果を交えて紹介し、今後のホルモン補充療法の展望について発表しました。(スライド7,8)

文責:齊藤、伊藤(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

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