第80回日本循環器学会学術集会

速報

第41回日本心臓財団佐藤賞受賞記念講演
2016年 3月19日(土) 17:20~18:10 第10会場(仙台国際センター会議棟 1階 小会議室1)
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座長:
 下川 宏明(東北大学 循環器内科学)
演者:
 家田 真樹(慶應義塾大学 循環器内科)

【Heart Development and Regeneration】
Room 10 (Sendai International Center Conference Building, 1F, Meeting Room 1)
Masaki Ieda
Department of Cardiology, Keio University School of Medicine, Tokyo

国際センター第10会場にて、「日本心臓財団佐藤賞記念講演: Heart Development and Regeneration」が第80回学術集会会長で東北大学教授の下川 宏明氏を座長として行われました。

1. Development of cardiac sympathetic nervous system and sudden cardiac death
家田氏のチームでは、心臓の神経支配密度を決定付ける分子の同定に成功しました。Nerve growth factor(NGF)は心筋細胞により合成される化学誘引物質(chemoattractant)であり、一方でSema3aは神経の化学忌避物質(chemorepellent)ですが、これらの統制された分子間のバランスが破綻すると、ニューロパチーや致死的不整脈による心臓突然死を誘発することを報告しました。(スライド1)

2. Heart development and cardiac fibroblasts
内因性の心筋線維芽細胞を拍動する心筋細胞に直接的に初期化することができれば、内在する大量の線維芽細胞を心筋細胞に移行させることも可能となります。家田氏のチームでは、心筋細胞の増殖と、発生における心室の発育を調節する未知の内分泌機能を、胎児性心筋線維芽細胞を用いた研究で発見しました。(スライド2)

3. Heart regeneration by cardiac reprogramming
家田氏のチームは、心筋細胞で特異的に発現している遺伝子のデータから、心臓の初期化因子を初めて同定しました。心臓特異的転写因子であるGata4、Mef2c、Tbx5からなる三つの組み合わせは、直接的にマウスの心筋線維芽細胞を心筋細胞様細胞に初期化しました。さらに、ヒトの線維芽細胞は初期化因子を過剰発現させることで直接的に心筋細胞に初期化できました。このことは心臓病に対する新たな治療標的分子を提案するとともに、再生医療の道を開くことが期待されます。(スライド3)

文責:進藤、江口(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

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