「川崎病」「高安病(大動脈炎症候群)」「たこつぼ心筋症」
座長:
藤原 久義(兵庫県立尼崎総合医療センター)
演者:
濵岡 建城(京都府立医科大学 小児循環器・腎臓学)
磯部 光章(東京医科歯科大学 循環制御内科学)
石原 正治(兵庫医科大学 内科学冠疾患科)
20日午前、国際センター第1会場で、会長特別企画「日本が誇る循環器研究II」が兵庫県立尼崎総合医療センターの藤原久義先生を座長として行われました。(写真1)
・川崎病
京都府立医科大学の濱岡建城先生から免疫グロブリン治療により致命率は減少したものの、症例数が年々増加している現状、原因究明が血管炎発症機序の基礎研究から臨床研究まで盛んに行われていることが報告されました。冠動脈瘤の有無に関わらず動脈硬化性変化が進みやすい可能性があり、小児循環器医と循環器内科医の連携が今後ますます重要になることが示唆されました。(写真2、スライド1,2)
・高安病(高安動脈炎)
東京医科歯科大学の磯部光章先生から高安病の歴史および疫学に関して御紹介いただきました。患者は若年女性が多く、症状から高安病を疑うことが大事であり、成書には記載されていない歯痛・難聴・耳鳴や低気圧時の体調不良等の症状を訴えることがあること、病変が97%は頸部血管にあるが、約4割は腹部血管にも病変があるため腹部まで検査が必要なこと、ステントがつぶれるほど浮腫状狭窄をきたし再狭窄率は4-7割のため待機できる症例ではステント治療は行わない方が良いこと、原因遺伝子が報告されてきていること、生物製剤が有用であることなど今後の診療に役立つ貴重な御講演を頂きました。(写真3、スライド3)
・たこつぼ心筋症
兵庫医科大学の石原正治先生から背景と経緯について症例をまじえて御提示いただきました。たこつぼ心筋症の成因として多枝スパスムによるmyocardial stunning説や冠微小循環障害説、およびカテコラミン心筋障害説などがあることが紹介されました。近年、欧米でも報告が増加しており、さらに注目を集めているとの座長の言葉がありました。(写真4)
以上、日本初の上記3疾患について有意義な知見の得られるセッションとなりました。
文責:小野瀬、阿部(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)