第80回日本循環器学会学術集会

速報

シンポジウム21
最新ゲノム医学から探る心血管システムの分子基盤~発生から病態まで~
2016年 3月20日(日) 11:10~12:40 第18会場(東北大学百周年記念会館 2階 川内萩ホール)
写真

スライド

座長:
 南野 徹(新潟大学 循環器内科)
 尾池 雄一(熊本大学 分子遺伝学)
演者:
 尾池 雄一(熊本大学 分子遺伝学)
 渡部 裕(新潟大学 循環器分野)
 渡辺 智彦(国立循環器病研究センター 分子生物学部)
 尾崎 浩一(理化学研究所 統合生命医科学研究センター 循環器疾患研究グループ)
 真鍋 一郎(東京大学 循環器内科)
 山下 智也(神戸大学 循環器内科学)

疾患の分子機序についての研究は、生物学的活動を決める基本図面であるヒトゲノムの解読により劇的に進歩してきました。大規模集団において遺伝子変異と個人の表現型の差異を関連付けるゲノムワイド関連解析(GWAS)が数多く行われ、疾患感受性遺伝子の同定を通じた遺伝子変異の役割の理解と、遺伝子変異を利用した個別化医療の発展に寄与してきました。新潟大学の渡部先生は、心筋ナトリウムチャネル遺伝子であるSCN5Aの変異がBrugada症候群やQT延長症候群の原因であるとともに心筋の線維化を通じた拡張型心筋症の原因ともなる可能性を示されました。理化学研究所の尾崎先生はGWASおよびその関連解析により彼らが同定した心筋梗塞発症に関連する複数の遺伝子多型の組み合わせにより、効率的な発症リスクの層別化を可能にすることを示されました。また国立循環器病研究センターの渡辺先生は従来報告されていたFBN1遺伝子変異とMarfan症候群との関連以外に、TGF-βシグナル経路に関与する遺伝子変異がMarfan-related genetic aortopathy (MRGA)に関与することを示されました。さて近年、様々な包括的オミックス研究やエピジェネティックな転写制御に関する研究により、疾患発症に潜む生物学的現象や発症機序の理解が進んできました。千葉大学の真鍋先生は、組織特異的な発現パターンを示すlong noncoding RNAによって細胞レベルで異なる翻訳後修飾が引き起こされることを示されました。また最近、腸内微生物叢 (microbiome) がヒトゲノムより数百倍多い遺伝子を有することが明らかとなり、その遺伝子産物が様々なタイプの生物学的現象と関連付けられています。神戸大学の山下先生からは、3種類に分類した腸内細菌叢と心疾患発症との関係についてお話しを頂きました。以上、ゲノムと心疾患の関連についての最新の知見を数多く得られたセッションとなりました。

文責:菊地、黒澤(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

閉じる

PAGE TOP