座長:
植田 真一郎 (琉球大学 臨床薬理学)
野出 孝一 (佐賀大学 循環器内科)
演者:
植田 真一郎(琉球大学 臨床薬理学)
坂田 泰彦(東北大学 循環器内科学)
肥後 修一朗(大阪大学 循環器内科学)
吉川 泰司(大阪大学 重症心不全外科治療学寄附講座)
3月20日 (日) 学会最終日 第一会場の「とり」をつとめるシンポジウム「世界スタンダードとなりうる日本型臨床研究のあり方を模索する」が琉球大学の植田 真一郎先生、佐賀大学の野出 孝一先生を座長に行われ、現在日本で行われている臨床研究を基に、今後日本発の世界へ向けた臨床研究をどのように行うか、また、どのように情報を発信していくべきか等、活発な議論が行われました(写真1)。
はじめに琉球大学の植田真一朗教授から、わが国における臨床研究の現状と課題についてまとめられ、今後より良い臨床研究を行うためには適正な研究デザイン・実施体制構築の重要性と、人材育成の必要性など将来への展望が示されました。
東北大学の坂田泰彦先生からは、心不全患者のコホート研究として世界最大規模であるCHART-2研究のデータを基に、今後アジア並びに世界で増加することが予想される心不全患者に関して日本から多くのエビデンスを世界に発信していく重要性が示されました。日本人のデータに基づく日本人のためのエビデンスが必要であることが再認識されました(写真2)。
大阪大学の肥後修一朗先生からは、ST上昇型心筋梗塞患者に対するエリスロポエチンの効果をみた高度先進医療 (EPO-AMI-Ⅱ試験)を実施した経験から、現在の日本の臨床研究において研究の遂行と患者さんの倫理的な立場を保護することを両立することがいかに難しいかが示され、それを解決するために取り組まれたことが示されました(写真3)。
大阪大学の吉川泰司先生からは、わが国の心不全患者を対象に行った臨床試験を基に、心不全患者の生命予後予測モデル (Japan Heart Failure Model) を作成し、米国の同モデルよりも妥当性が高いことを確認し、日本独自の心不全予後予測の重要性、今後の臨床研究への応用についての抱負を述べられました。
文責:及川、辻(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)