プレナリーセッション

〈英語〉

(7)冠動脈疾患のトランスレーショナルリサーチ
Translational Research for Coronary Artery Disease

国内座長: 三浦 哲嗣 (札幌医科大学 循環器・腎臓・代謝内分泌内科学)

冠動脈プラークの評価、冠危険因子の評価、薬物治療ならびに血行再建の方法を含め、冠動脈疾患治療の多くの側面が進歩し、治療成績は近年大きく向上してきた。こうした進歩の背景には多くの大規模臨床研究の成果とともに、基礎研究による病態解明がある。しかし、重症例の治療成績は現在も必ずしも十分ではなく、最近の統計によれば、冠動脈疾患による年間の死亡者は、日本国内で7万人以上、世界全体で740万人におよんでいる。冠動脈疾患の予後をさらに改善するための治療標的として、冠動脈プラークだけでなく、微小循環障害、心筋細胞死、障害組織修復、冠動脈インターベンションに対する冠血管の応答、など複数が想定され、それぞれの病態に関与する基礎研究にも進展が見られている。ことにプログラム化された細胞死の機序としてアポトーシス以外にネクロプトーシスやフェロプトーシスの存在が明らかにされ、その制御機構やオートファジーとの関連についての知見も蓄積されつつある。また、治療介入の方法論も、microRNAの応用や、新規ドラッグデリバリーシステム(drug delivery system)、remote preconditioningなどの非薬物的介入の効果も検討されている。本プレナリーセッションでは、冠動脈疾患における冠動脈あるいは心筋の病態解明を通して新たな治療戦略を目指す橋渡し研究の成果をご紹介いただき、今後の方向性を展望したい。

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