プレナリーセッション

〈英語〉

(4)再生医療の Futurability
Futurability of Regeneration Therapy

国内座長: 小室 一成 (東京大学 循環器内科学)

再生医療が注目されて30年ほどが過ぎようとしているが、心臓や血管の再生治療研究は順調に進んでいるのであろうか。元来体内でも再生が起こる血管に関しては、種々の細胞を使った血管新生治療が行われ有効性を発揮したが現状はどうであろうか。臨床研究の最前線を知るとともに一般臨床へ展開する際の課題を考える。一方体内での再生がほとんど期待できない心臓に関しては、2種類の方法で「再生治療」が試みられている。本来の再生治療は、体内の幹細胞や心筋細胞を活性化して心筋細胞への分化や細胞分裂を促すことであろう。心臓にも未分化で多分化能をもった幹細胞が複数種存在するが、何故かそれらは心臓内で心筋細胞に分化することはほとんどない。また心臓が再生することが知られている動物においても、心臓再生は幹細胞ではなく、既存の心筋細胞の分裂増殖による。従ってもし本来の意味の心臓再生を望むのであれば、ほとんど喪失してしまった既存の心筋細胞の分裂増殖を促す方法を探索すべきであろう。現在多くの研究室で行われているもう一つの心臓再生の方法は心筋細胞移植である。特にiPS細胞の登場により大量の自己の心筋細胞移植が可能となったことは大きな進歩である。iPS由来心筋細胞は胎児期の心筋細胞に似ており、収縮力という点ではその未熟性が問題となるが、分泌物による血管新生、細胞保護の観点で期待ができるかもしれない。心臓血管の再生医療について将来を展望する。

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