プレナリーセッション

〈英語〉

(9)心筋虚血画像診断の現状と将来
Development of Imaging in the Assessment of Myocardial Ischemia

国内座長: 赤阪 隆史 (和歌山県立医科大学 循環器内科)

近年、冠動脈疾患の診断・治療における心筋虚血診断の有用性が数多く報告されている。特に、冠動脈疾患治療の適応決定に際し、解剖学的な評価ではなく、心筋虚血の有無とその程度・範囲に基づいた適切な冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)の選択により、治療法の成績向上や患者の予後改善が期待される。従来から日常臨床において汎用されてきた運動負荷心電図は、感度・特異度とも低く、虚血の範囲の診断は困難である。心筋虚血の有無と範囲を評価できる心筋シンチグラムは、使用施設が限られており、多枝病変や陳旧性心筋梗塞例における診断の限界も報告されている。FFRや iFRは心臓カテーテル検査時に冠動脈の枝ごとに心筋虚血の評価が可能で、中等度狭窄病変の機能的評価に汎用されつつあり、欧米のガイドラインではクラスIまたはIIaの推奨で、多くのエビデンスが報告されてきている。また、perfusion MRIやCT perfusionによる心筋虚血評価の有用性やMSCTと心筋シンチグラムのfusion imageの有用性も報告されている。また、FFRをMSCTや3次元冠動脈造影から推定しようとするFFRCT・QFRの日常臨床応用も始まり、日常診療における冠動脈疾患診断・治療の流れが変化する可能性もある。このような背景から、心筋虚血画像診断の現状を整理し、その将来について議論を深めたい。

閉じる