動脈硬化性疾患は様々な危険因子を背景にして、最終的には血管壁の炎症反応が起きて発生すると考えられている。古くからこの理論は重点的に研究され、その結果、血管内皮細胞のNO産生低下と細胞接着分子発現、これに伴う炎症細胞の接着と血管壁内浸潤、酸化LDLのマクロファージによる貪食、プラーク形成と破綻、血栓形成などの一連の機序が明らかにされてきた。近年これらの病理学的な過程に、幹細胞、代謝性因子、多臓器間ネットワーク、腸管・皮膚免疫機構などさまざまな因子も関与している可能性が明らかにされてきた。さらにこれらの機序を繋ぐ分子として、遺伝子多型、エピジェネティックス変化、マイクロRNA・長鎖非翻訳RNAなど様々な分子の関与が示唆されている。本シンポジウムでは、このような特にここ数年で明らかにされつつある動脈硬化の新しい分子機序について討論したい。特に斬新な発想で行われた基礎研究について、積極的な投稿を期待する。
シンポジウム
〈英語〉
(17)血管障害と炎症・免疫
Role of Inflammation and Immune System in the Process of Vascular Injury
国内座長: | 室原 豊明 | (名古屋大学 循環器内科) |
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