シンポジウム

〈日本語〉

(2)心不全と不整脈の管理~薬物治療からデバイス治療まで~
Management of Heart Failure and Arrhythmias: From Pharmacotherapies to Implantable Devices

国内座長: 萩原 誠久 (東京女子医科大学 循環器内科)
池田 隆徳 (東邦大学 循環器内科学)

心不全患者では、不整脈の発生が死亡率の上昇や難治合併症の発現に関与し、同時にわが国における医療負担の増加にも繋がっている。心不全による入院率は、現在、多くの医療機関で増加傾向となっており、それに拍車を掛けているのが不整脈である。特に、頻脈性心房細動が関与することが多く、心不全の改善を妨げる大きな要因として知られている。近年、脳卒中のケアが話題となっているが、心不全と心房細動は脳卒中の重要なリスク因子でもある。周知のごとく、心房細動患者では心原性脳塞栓症の主たる原因であり、加えて心不全の悪化を助長する疾患としてもよく知られている。心機能が低下した心不全患者では、死に至る病態としてポンプ不全が多いが、逆に心機能が比較的保たれた心不全患者においては心臓突然死が多いとされている。心臓突然死の原因は、言うまでもなく心室頻拍や心室細動などの心室不整脈である。心機能が低下した心不全患者では、様々な作用を期待した薬物治療、あるいは心臓再同期療法、植込み型除細動器、植込み型デバイスに備えられた心臓モニタリングシステムなどを利用して、心不全と心室不整脈の管理が試みられている。一方、心機能が保たれた心不全患者では、心房細動などの頻脈性不整脈の持続が心不全を引き起こすことも多く、頻脈誘発性心筋症と呼ばれており、このような病態では、カテーテルアブレーションによるリズムあるいはレートコントロールが心不全の改善に繋がることもある。本シンポジウムでは、「心不全と不整脈の管理:薬物治療からデバイス治療」と題して、現時点における心不全と不整脈を合併した患者の治療戦略について広くディスカッションする予定である。

閉じる