シンポジウム

〈日本語〉

(10)川崎病既往成人の冠動脈病変の病態の評価と管理
Evaluation and Management of the Pathophysiology in the Coronary Sequelae in Adults with a Remote History of Kawasaki Disease

国内座長: 金澤 英明 (慶應義塾大学 循環器内科)
三谷 義英 (三重大学 小児科学)

川崎病が報告されて50年が経過した。2014年現在の川崎病既往者数は約30万人、そのうち成人例は約14万人と半数近くに達し、この15年間で約4倍に増加した。急性期川崎病に対する大量γグロブリン療法導入前の冠後遺症の合併率は18.7%、導入初期の1982-84年でも17.2%と高率であり、現在の成人例の冠後遺症合併率は高い。さらに急性冠症候群を来たした若年成人例で、画像所見から川崎病既往があったと推測される未診断例は、小児期診断例より多いと報告されている。以上から、川崎病既往成人の冠合併症は、既に日常の循環器臨床の問題であり、今後の対策が重要になると考えられる。一方、従来の研究では、遠隔期川崎病症例において、冠動脈内皮機能障害、慢性炎症の存在から冠動脈機能障害が示唆され、血管内超音波(IVUS)などの血管イメージングで石灰化、アテローマの関与も示されてきたが、依然として不明な点も多く、基礎的、病理学的な検討、解明も重要なテーマである。近年、川崎病既往成人の急性冠症候群の発症例、カテーテル治療の対象となる虚血例の診療において、様々なイメージングモダリティ(IVUS、OCT、血管内視鏡、CT、MRI、FDG-PETなど)が種々の血管病変の病態解明、治療効果の評価などに応用されている。しかし、冠動脈病変の病態とそれに応じた治療、管理などの報告は未だ限定的である。そこで、本シンポジウムでは、本症の病態と治療、管理に迫る症例と最新の研究成果について議論したい。

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