シンポジウム

〈英語〉

(8)循環器疾患の性差を究める─Ask The World-class Expert;日本固有のエビデンス発信を目指して
Explore the Japanese Evidence of Cardiovascular Disease in Gender Medicine ─Ask The World-class Expert

国内座長: 坂東 泰子 (名古屋大学医学部附属病院 循環器内科)

心血管病の臨床像と予後には認知すべき性差がある。例えば、虚血性心疾患(IHD)全体の予後は医療の進歩により劇的に改善しているが、女性では、非特異的症状や閉経後に頻度が増加する微小血管狭心症(Cardiac syndrome X)の合併のため、診断率や予後が依然として低い。昨年アメリカ心臓協会(AHA)や日本性差医学・医療学会は、IHDの臨床像と予後には明確な性差があること、この性差の特徴のために診断の遅れがちな閉経期女性のIHDの予防と治療に警鐘を鳴らす声明を発表した。人種を問わず閉経期前後の女性ホルモン環境の変化はIHDの臨床像に影響を与えるが、この年代では高血圧など動脈硬化危険因子の合併率増加も相まり、同年代の男性に比べ予後不良である。欧米ではCardiac syndrome Xを発症する閉経後女性での有意な冠動脈プラーク容積率上昇や、1年あたり2.5%の総心血管イベントリスク増加のデータが示されたが、日本人に共通するかどうかは不明である。心不全領域でも、閉経後女性はHFpEFのリスクファクターとして知られているが病態生理や統計データは未だ発展途上といえよう。本セッションでは、海外エキスパートにより世界の現状について理解を深め、循環器領域における日本固有の性差エビデンス発信のために何を実践すべきかを総合的に議論したい。

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