経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve mplantation、TAVI)の世界的普及はデバイス治療が今後のstructural heart disease(SHD)診療体系を一変させる可能性を示唆している。一般にどんな治療法でも開発当初は適応を限定して行われるが、そのうちに段々適応が拡大され、場合によっては過剰適応となり、さまざまな問題点や限界が経験され、そして最終的に最適適応に落ち着く。TAVIを例にとれば当初は高リスク症例に限定されていたものが、デバイスの進歩に基づくすぐれた術後成績と安全性を踏まえて、低リスク症例にまで適応が拡大されようとしている。しかし合併症、弁の耐久性、長期予後など不明な点も多く、現時点での最もよい適応は何かということになればまだまだ議論は必要であろう。TAVIに引き続き近い将来、僧帽弁閉鎖不全症、左心耳閉鎖、人工弁周囲逆流、三尖弁閉鎖不全症等に対するデバイス治療も次々と導入されていくものと思われる。これら比較的低侵襲でかつ安全に実施できる治療手技は高齢化の進む本邦でこそ必要性の高いものであり今後益々普及していくものと予測される。デバイスの進歩とともに適応が拡大され、またあらたな限界が見えてくる。これは新しい治療の宿命である。本セッションではこれら新しいデバイス治療の現状を共有し今後の方向性を探りたい。
シンポジウム
〈英語〉
(7)Structural Heart Diseaseに対するデバイス治療の進歩と限界
Advancement and Limitations of Device Treatment for Structural Heart Disease
国内座長: | 中谷 敏 | (大阪大学 保健学専攻 機能診断科学) |
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