シンポジウム

〈日本語〉

(19)症例から学ぶ肺高血圧症の病態~From Bed to Bench~
Pathobiology of Pulmonary Hypertension─From Bed to Bench─

国内座長: 桑名 正隆 (日本医科大学 アレルギー膠原病内科学分野)
瀧原 圭子 (大阪大学 キャンパスライフ健康支援センター/大阪大学
循環器内科学)

肺高血圧症は、かつては有効な治療薬のない難病として知られていたが、我が国においても2005年以降、相次いでエビデンスのある有効な経口肺血管拡張薬の使用が広がり、治療可能な疾患として変貌を遂げている。また、第5回ワールドシンポジウムの病型分類/治療ガイドラインに基づき、肺高血圧症に関する理解は飛躍的に広がっている。しかしながら肺高血圧症の病因は多岐にわたるとともに、その発症にはさまざまな要因が関わっているため、確定診断や鑑別診断が困難な例が少なくない。また、未だ第5群には「詳細不明な多因子のメカニズムによる肺高血圧症」として、さまざまな疾患群が含まれている。早期診断・早期治療介入が必要であるだけでなく、病態に応じた治療法を選択するためにも、発症機序に応じた個別化医療の実現を目指す必要がある。肺高血圧症の発症および病態進展に関しては、“multiple-hits theory”が提唱されているが、遺伝的要因や環境要因等、発症機序の全容解明には未だ多くの課題が残されている。本シンポジウムでは症例提示を通じて、個々の症例においてどのような“multiple-hits”で肺高血圧が形成されたかについて検討し、肺高血圧症の新たな発症機序について理解を深めるとともに、病態に基づいた新たな治療法の開発についても総合的に議論したい。

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