シンポジウム

〈日本語〉

(6)循環器集中治療の現状の課題と展望、循環器医への教育をどうする?
The Current Issues and the Future Perspective in Cardiac Intensive Care, How about Education?

国内座長: 高山 守正 (榊原記念病院 循環器内科)
遠藤 智之 (東北医科薬科大学病院 救急科)

循環器集中治療の歴史は、1960年代の急性心筋梗塞患者に対する心電図モニタリングと不整脈治療(電気的除細動、薬物治療など)に始まり、その後の絶え間ない研究と技術革新によって診断と治療法の発展を繰り返し、多くの重症心疾患患者のアウトカムを改善してきた。虚血性心疾患をベースに成果をあげてきた循環器集中治療は、現在は対象となる疾患・病態や重症度が多様化し、また提供できる薬物・デバイスも変化している。機械補助を要する非代償性心不全、敗血症に伴う心筋障害、神経保護を要する心停止後症候群、急性大動脈疾患、急性肺血栓塞栓症、肺高血圧症、デバイス不全など、対象疾患は様々である。個々の症例に対して社会復帰を目指したきめ細かな集中治療を展開するためには多くのリソースが必要であり、 集中治療に精通した看護師、 呼吸療法士、 臨床工学技士、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカー等による多職種連携が欠かせない。またこのような循環器集中治療は、 実際にはプレホスピタルや救急部門での初期介入から始まっており、患者アウトカムの改善のためには、救急部門と循環器専門医の密接な連携が極めて重要である。本シンポジウムでは、循環器集中治療の現状の課題として、臨床現場では多職種連携、ECMO・IABPといった機械補助装置の適応と管理、新旧の血管作動薬・抗不整脈薬の適切な使用法、栄養管理等についてが挙げられる。さらに現行の循環器医学教育の中で体系的な集中治療医学教育が殆ど欠落している事が重大であり、早急な対策が緊要である。今後の展望も含めて議論していきたい。

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