わが国は世界でもトップレベルの長寿国であり、循環器疾患の増加は著しく、65歳以上の高齢者では、脳卒中と循環器疾患による死亡はがんによる死亡とほぼ同数である。また、40歳から50歳にかけての循環器疾患発症の増加も問題になっている。そのため、脳卒中と循環器疾患に費やされる医療費は全医療費の20%を占め、がんを上回り最大である。昨年12月、日本循環器学会と日本脳卒中学会が中心となり「脳卒中と循環器病克服5ヶ年計画」を発表した。その中にも医療体制の充実を上げており、急性期、回復期、慢性期にかけてのシームレスな医療提供体制の構築が重要であると述べられている。厚生労働省のワーキンググループでも活発な議論が行われている。循環器疾患の急性期医療体制で問題となる対象疾患については、急性心筋梗塞に加えて近年は急性心不全、急性大動脈解離がある。24時間365日循環器救急疾患を受け入れ緊急の冠動脈インターベンション(PCI)や内科的治療が可能な施設と、さらに緊急の外科的治療が可能な施設を医療資源として分けて考えることも必要であろうし、その配置も考慮すべきであろう。また急性期から包括的リハビリテーションを行い、早期に回復期、慢性期の病院に転院搬送できる施設間ネットワーク体制の構築も重要となってくる。それらは地域の現状に応じて設定されるべきである。本シンポジウムではこのような医療体制についての課題と展望について会員の皆様と討論したい。
シンポジウム
〈日本語〉
(11)わが国の循環器医療提供体制の課題と展望
Issues and Perspects of Cardiovascular Medical Service System in Japan
国内座長: | 永井 良三 | (自治医科大学) |
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小川 久雄 | (国立循環器病研究センター) |