| (背景)
我が国ではこの半世紀、糖尿病の患者さんやその予備群の方は増加の一途を辿ってきました。
今年4月30日、「平成18年国民健康・栄養調査」の結果が発表され、「糖尿病が強く疑われる人」は約820万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」は約1,050万人で、両者の合計は約1,870万人にのぼり、「平成14年糖尿病実態調査」の約1,620万に比べてわずか4年の間に約250万人も増加しています。我が国における生活習慣の変化、すなわち食生活の変容と運動不足、そしてその結果引き起こされる内臓脂肪の蓄積や肥満は、このような糖尿病の増加の重要な原因であると考えられています。
糖尿病は、紀元前1500年頃の古代エジプト時代から知られており、蜂蜜のように甘い尿が沢山出る病気として認知され、それが糖尿病=Diabetes Mellitus (DM)という病名の由来となっています。長らくその病態は不明でしたが、1921年にBantingとBestが血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を下げるホルモン、すなわちインスリンの発見に成功したことをきっかけとして、病態解明と治療が大きく進歩しました。これまでに、インスリンに直接関連する研究だけでも4つのノーベル賞が授与されたことに象徴されるように、その後も数々の研究成果が積み重ねられ、現在では糖尿病は「インスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群」として理解されています。つまり、病気の進展の度合いや直近の食事などにより、糖尿病であっても必ずしも尿中に糖が出てくるとは限らないのです。そして、重度の高血糖状態を除けば、多くの場合、自覚症状に乏しいため、積極的に検査をしなければ病気の存在に気づきません。しかし、症状がなくても慢性の高血糖状態が長く続けば、全身の血管がいたみ、眼・腎臓・神経の障害に加えて心筋梗塞・脳卒中・足壊疽など様々な合併症に悩まされることになります。
糖尿病をはじめとする生活習慣病への国民的関心が急速に高まっているなか、第51回日本糖尿病学会年次学術集会の開催と時を同じくして、今年度から内臓脂肪の蓄積や肥満に注目した特定健診・特定保健指導がはじまりました。また現在、我が国では、世界的にみても画期的な糖尿病予防対策研究J-DOIT (Japan Diabetes Outcome Intervention Trial) が全国規模で進行しています。さらに、糖尿病学の進歩により糖尿病の原因遺伝子や分子メカニズムが解明されつつあり、個々の患者さんに最適化された医療=テーラーメイド医療の実現も、もはや夢ではなくなりました。
糖尿病は予防できます。そして、正しく治療をすることによって合併症を防ぐことができます。その根幹は、健康的な食生活(Diet)と適度な運動(More Exercise)です。我が国の糖尿病学の次の半世紀を迎える出発点にあたり、糖尿病学と糖尿病医療に携わる我々はここに宣言したいと思います。できるだけはやく、糖尿病の患者さんやその予備群の方を減らし、そして糖尿病の合併症で悩む人々を減らすために努力し続けることを。
あなたとあなたの大切な人のために
STOP the DM -Diet & More Exercise -
―― このフレーズを合言葉に、健康的な生活習慣の増進を通じて、糖尿病の予防と治療にさらなる希望をもたらすべく、国民の皆さんとともに挑戦を続けます。 |