第22回日本臨床救急医学会総会・学術集会

会長挨拶

会長 加藤 正哉

第22回日本臨床救急医学会総会・学術集会
会長 加藤 正哉
(和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座 教授)

第22回日本臨床救急医学会総会・学術集会を会長として和歌山の地で開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。

新元号に変わってこれまで経験したことのない暦上の10連休があったかと思えば、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まであと1年あまりと、お祭り好きの日本人にはなんとなく浮き足だった時期の学会ですが、このワクワクした気持ちが、よりよい方向に向かうきっかけになるような学会にしたいと思って準備をしてまいりました。地方都市での開催なので、会員の皆様に交通や宿泊など余計な労力をおかけしますが、個々の発表や討論が実りあるものになれば、お許しいただけると信じております。

「救急医療のリアリティー」というメインテーマに対して、628演題をご応募いただきました。これにプログラム委員の皆様を中心にご提案いただいた指定演題を加え、2日間で10のシンポジウムと13のパネルディスカッション、3つのワークショップと共に一般演題(口演57セッション、ポスター26セッション)をご発表いただきます。専門医制度に対応した共通講習や救急科領域講習、教育講演の他、JPTEC、ICLS、ISLS、JTASのブラッシュアップセミナーや多職種が集う本学会ならではの、診療放射線技師、臨床検査技師、メディカルソーシャルワーカー、救急認定薬剤師それぞれの領域講習を組み込んだプログラム構成です。多くの演題を応募して下さった会員の皆様に深く感謝申し上げます。

日々の診療、ケア、搬送の現場では、「病態の観察やアセスメントの結果から、もっとこうしたらいいと思うのに、さまざまな理由のためにできない」リアリティー(ネガティブな現実)と、「ガイドラインやプロトコルには書かれていないけれども、チームでの対応や多職種連携、新しい技術の活用などで、こんなにできる」リアリティー(ポジティブな現実)があると思います。超高齢社会や人生の最終段階における医療に対する考え方、医療従事者の働き方改革など、救急医療をとりまく環境が大きく変わるなかで、リアルな救急医療を再確認し、新しい時代につながる情報発信ができるよう、会場内外を通して活発な意見交換をお願いいたします。

特別講演には高野山金剛峯寺第412世座主、元高野山真言宗管長を務められた松長有慶様に「いのちつながる」という題でお話を伺います。人生の最終段階における傷病者に対する医療のあり方を考えるときに、宗教的な背景を避けて通ることはできません。インド哲学研究者として多くの業績に基づくご講演を伺って、終末期医療や超高齢社会を考えるきっかけにしたいと思います。もう一つの特別講演には、中央大学文学部教授の宇佐美毅氏をお招きしました。宇佐美先生は日本文学研究者ですが、現代文化としてのテレビドラマ研究で多くのファンを持つ有名ブロガーです。医療を含めたフィクションの世界を視聴者の立場から研究されているお話を伺い、私たち医療従事者がテレビドラマに感じる違和感を通して、医療のリアリティーを考え直すヒントがいただけるかと思います。

和歌山には、高野山や熊野古道を含む世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や日本三古湯の白浜温泉、三美人湯の龍神温泉など魅力ある観光資源が満載です。学会終了後は、代謝が亢進した脳を休めるために、ぜひ紀伊半島の自然に触れて癒やされて下さい。和み和らぐ和歌山です。

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