会長挨拶

病理学:10年後への展望/ Pathology Prospects Ten Years Forward

第64回日本病理学会秋期特別総会 会長 谷山 清己

 第64回日本病理学会秋期特別総会を、2018年11月22日、23日の二日間、呉市文化ホールを主会場として開催いたします。
 現代科学は指数関数的な速さで発展しており、進歩を加速している人工知能は、今世紀半ばに人類知能を凌駕する予測もなされています。医学においても広い分野で人工知能が組み込まれつつあり、病理学にもその影響は及びます。従来、「病理学」は「統合の科学」と言われ、病理形態学的観点を根幹とし、DNA、RNA、Proteinなど種々の機能を統合的に解析して病態解明してきました。また、病理診断は、日常診療の基板であり、正しい医療遂行の要です。一方、重要な役割を担う病理医の需要に対して、病理学会でも様々な取組みを行なっているものの供給は十分でないのが現状です。急速に進行している国民の少子高齢化と人口減少は我が国の疾病構造を根本から変える可能性があります。このように多くの不確定的因子が絡み合い変化していく中で、病理学及び病理医が果たす今後の役割を考察する企画を建て、本総会テーマを「病理学:10年後への展望/ Pathology Prospects Ten Years Forward」といたしました。
 本総会では、A演説、B演説、病理診断特別講演が従来通りにおこなわれます。独自プログラムとして、デジタル技術や人工知能の導入が今後どのように我が国で展開するかを考えるシンポジウム、招聘講演と共に一歩先を進む米国デジタルパソロジー運用事例を紹介します。10年後を考える時、避けて通れないのが国際化、即ち発表・論文の英語化です。その観点から、総会2日目午後を基本的に英語対応とし、WHOで長年勤務した日本人病理医と米国を代表する病理医のup-to-date data紹介を特別講演として組みました。今後世界を牽引する地域と期待されているアジアに生まれた若手医師はどのような夢を持って病理医となるのかを考えるシンポジウム“Career Path toward becoming a Highly-regarded Pathologist”では、ミャンマー、タイ、韓国、日本の若手、中堅病理医の経歴紹介等を通して将来病理医となる有望な人材リクルートにアジア共通のパターンがあるのかを探ります。我が国の少子高齢化、人口減少が今後の病理業務にどのような影響を及ぼすかを考察する会長講演では、我が国固有の病理業務環境を紹介します。
 本総会に多くの会員が参加され、現状認識と将来展望というキーワードから多くのことを感じ取っていただければ幸いです。昭和の香りが残る呉市の文化を堪能していただくことも一興です。

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