2018年6月8日(金)から10日(日)の三日間にわたって神戸国際会議場・神戸ポートピアホテルにて日本超音波医学会第91回学術集会を開催させていただくことになりました。日本超音波医学会は私が循環器内科を志した直後に入会させていただいた学会であり、私の医師としてのキャリアの原点とも言える存在です。今回、その学術集会を担当させていただくことを大変光栄に感じておりますと同時に、私にこのような機会を与えて頂きました日本超音波医学会理事会をはじめ、関係各位に深く感謝申し上げます。
今回の学術集会のテーマは「超音波医学の知と技を究める」とさせていただきました。知は知恵であり、scienceであり、医学(medicine)や工学(engineering)の進歩そのものです。一方、技は、手技であり、artです。超音波医学を日常臨床に役立てるためには、最新のscienceに通じていることと、それを実践するためのartを向上させることが必要との考えからこのテーマを選択いたしました。
日本超音波医学会の最大の特徴は医学(M)と工学(E)の双方の研究者が超音波医学の発展のために垣根なく話し合えることです。これは他学会に類を見ない素晴らしい点であり、scienceの進歩のために理想的な環境と言えましょう。学術集会ではM側とE側の活発なディスカッションを通じて各分野の専門的知識のみならず、領域横断的な知識を習得するために最高の場を提供したく思います。また超音波検査は今やきわめて一般的な検査法ですが、それだけに芸術的とも言える高度な技術を駆使する検査者がいる一方で、レベルの低い検査者や施設があることも事実です。さらに若手医師の技術力の向上も問題となっています。これらの問題点を解決して高い技術力(art)をあまねく担保するための議論も展開できればと考えています。
Science and Artには、科学と芸術、理系と文系という意味合いもあります。人を対象とする医療・医学には広い視野と洞察力が欠かせません。本学術集会ではこのScience and Artをキーワードに、超音波医学に関する幅広くかつ深い情報交換ができればと思っています。
多数の皆様のご参加をお待ちしています。
日本超音波医学会 第91回学術集会
会長 中谷 敏
大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座