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年会のコンセプトC

年会長挨拶

第35回の福岡大会にようこそ
〜年会の新しいスタイルを模索する〜
第35回日本分子生物学会年会
年会長  阿 形 清 和
(京都大学大学院理学研究科)

1978年に東京で開催された第1回の分子生物学会に参加したのは、私が京大の学部4回生の時だった。まさに遺伝子クローニングの黎明期で、アメリカのカーネギー研究所でカイコのフィブロイン遺伝子をクローニングし て帰国してきた鈴木義昭さんに、学部生ながら直撃インタビューしたことを今でも鮮明に憶えている。そこには、新しいサイエンスの躍動があり、4年生の私には超刺激的だった。そして、その34年後に、この巨大化した分子生物学会に、大会委員長として参加するとは─ 。分子生物学の隆盛が、パーソナル・ゲノム時代の扉を開き、今回初めて年会に参加する学生たちは、パーソナル・ゲノム時代の幕開けを、時代の証言者として後世に伝えてくれるに違いない。

一時期、遺伝子クローニングの話に飽き飽きとした時代があったが、GFPを用いたビジュアル化や、クロマチンIPの開発、次世代シークエンサーの登場などによって、難航不落の要塞のように存在していた核内構造も、サイエンティストの手が届きつつある。分子生物学は、一時期の惰性的な時代から、ホールゲノム・シークエンスによって再び躍動の時代を迎えたといえよう。non-coding RNAとエピジェネティックスは、その象徴のような存在であり、新たなサイエンスの広がりを若者たちに感じさせてくれる。

そんな新たな息吹を、サイエンスのみならず、大会の発表や運営にも感じてもらおうというのが、今大会のコンセプトである。パーソナル・ゲノム時代の幕開けとともに、大会のIT化はある意味セットとして連動していると考えられる。ゲノムデータや核内の三次元構造を各人がタッチパネルで操作しながら発表を聞いて質問する 時代へと変貌していくに違いない。やがてゲーム感覚で、TALEN法などで、ここのゲノムを編集したらこうなるのでは─ みたいな、そんな双方向のコミュニケーションが大会の主流になる日も近いのではないだろうか。今回は、そこまでいかないまでも、夜ゼミのシステムなどを作り、IT化による双方向コミュニケーションを年会 に持ち込んだことは、将来の分子生物学会のあり方への仕掛けと考えてもらいたい。単なるIT化ではなく、IT化=双方向コミュニケーションと捉え、それにあわせて膨大なデータを使ったプレゼンが可能な時代へ、レールを着々と敷いているつもりだ。今回の仕掛けを新たな時代の第一歩として、次の世代の飛躍を期待したい。

最後に今大会を運営するにあたり、大会委員長の多くのわがままを聞いてくださった組織委員、IT化委員、JCSに感謝したい。


年会のコンセプトB

第35回の福岡での年会は、邦題としては「〜年会の新しいスタイルを摸索する〜」、英文タイトルとしては”Trial of IT-technology-based member-member communication at the annual meeting”としています。ITを駆使することで、従来の<演題を中心とした年会>から、<個々の会員の顔がわかる年会>への質的変換を図ろうとしています。サイエンスは研究者個々の個性にもとづいて行われるものです。しかし巨大学会だと、どうしても個々の会員の個性が巨大な海の中に埋没してしまいます。個の交流はコンパクトな班会議などで楽しみ、分子生物学会では<個>にこだわるのではなく情報収集に徹する会員も多いのではないでしょうか。そこで、今回の年会では、キーワードをもとに情報収集するだけではなく、個々の会員の顔が見える形で情報収集ができるようにしたら、どのような年会になるかにチャレンジしています。要するに、巨大学会の母集団の多さがマイナスとなるのではなく、母集団の多さを活かして、いろいろな個性と出会うことで、個々の研究のひろがりを促すことを目標にしています。今までやりたくてもできなかったことを、IT化によってできるようにしようというチャレンジです。
 組織委員会では、上記コンセプトに賛同する会員からなるIT化委員会を組織し、スマートフォン・iPadのみならず、従来の携帯電話・パソコンでも、キーワードだけではなく、個を基本とした情報収集と交流ができる仕組みを構築しました。ポスター発表後のサイエンス討論を可能にする<夜ゼミ>のシステムも構築しました。さらに、サクサク感をもって検索を楽しめるよう、会場でのIT環境のインフラ整備にもエネルギーを使っています。詳しくはIT化委員会からのメッセージをお読みください。要旨をぎりぎりまで公開したくないという場合は、大会一週間前からの公開となりますが、それ以外の方については、プログラムができ次第、新たな情報収集システムに各自の要旨が載った形で検索ソフトにのります。積極的な参加・応募を期待しています。


2012年7月、組織委員会メンバーを代表して、阿形清和

年会のコンセプトA

一般会員が発表を楽しむ、いろいろな情報を多角的に収集する、参加者と交流する機会を増やす- -そういった工夫をこらしていますので奮って参加下さい。

  • ①ポスターの前でポツンと立っただけで発表が終わることのないよう、必ず口頭での発表ができるようにしています。具体的には、3分間のショート・トークか、選ばれればワークショップでの口頭発表ができます。

  • ②ワークショップについては、若手会員からの積極的な応募のおかけで、100近いセッションが開催予定です。1つのワーショップにつき、3-5名を一般演題からピックアップしますので、ポスター発表者の中から400名前後の方に、予定演者に混じって口頭発表してもらうことになります。予定演者を凌ぐ発表で、各ワークショップを盛り上げて頂くよう期待しています。

  • ③シンポジウムは各時間帯に一本だけ走らせています。気になる分野のフロントの話を、ちょっとした解説つきで聞くことができるよう工夫しています。

  • ④シンポジウムと平行して、先に述べたように多数のワークショップが走っています。組織委員会としては、できるだけ多様な分野の話を聞いてもらいたい、というのが本音ですが、うまく渡り歩いてもらえば、例えばエピジェネティクスに興味のある参加者は、学会期間中を通してエピジェネ・トークを楽しめるようにもアレンジしています。

  • ⑤IT化についても、一般公募の中からなかなかのメンバーがIT化委員会に参画してくれたおかげで、かなり斬新なアイデアで年会を盛り上げるよう工夫しつつあります。その全貌については、乞うご期待。

  • ⑥昨今の就職難のため、就活が長期間に及ぶことで、結果的に学生会員が長期にわたって実験から離れるケースが増えつつあります。特に12月から就活が解禁となるために、分子生物学会に参加できない学生会員も多いと思われます。そこで今回は、トライヤルとして、企業の研究所などのリクルート・ブースを準備します。良いマッチングがスムーズに進むことで、多くの学生会員が実験に専念する時間を確保し、翌年にはハイレベルな発表ができるように期待をこめて企画しています。今回のトライヤルが良い方向になるようご協力願いします(発表も聞かずに就活だけしているような裏切り行為のないようお願いします)。

  • ⑦先に案内しましたように、今年度の年会は生化学会との連続開催となりますので、1度の旅費で2つの学会を楽しむことができます(JTBに格安企画を頼んでいます)。特に、学生会員については、分子生物学会で登録すれば生化学会もフリーパスで発表を聞くことができます(同じく、生化学会に登録した学生も分子生物学会をフリーパスで聞くことができます)。通しで参加すると一週間近くになりますが、将来の学会の担い手になる若手が、将来の学会のあり方を考えるきっかけにしてくれることを期待しています。長期不在に不満のあるPIもおられると思いますが、何卒、寛容なる対応をお願いします。

  • ⑧今回は、自分と少し離れた分野の発表も楽しんでもらいたいということもあり(特に若手の方々に)、英語化についてはあまり強調していません。しかし、外国人を演者に入れているセッションについては礼儀として英語でやって頂くこと、またプログラムについても英語でも閲覧できることが原則ですので、参加者・発表者には日本語と英語の両方での登録をお願いすることになりますがご協力願います。

  • ⑨出張予定が組みやすいように、10月の上旬にはプログラムを公開する予定です。ただし、要旨に関しましては(ぎりぎりまで公開して欲しくないケースが多々あるようなので)、11月29日の公開とさせて頂きます。その分、ホットな話題を会員が提供して頂くことを期待します。

以上が福岡大会のコンセプトとなります。IT化時代の新たな学会のあり方を模索する年会となります。新しい試みは、往々にして混乱と不満を産むことがあります。できるだけ、そうならないよう組織委員会も努力しますが、参加者の皆様の協力・支援も不可欠ですので、何卒よろしくお願いします。多くの会員と福岡でお会いできることを楽しみにしています。

組織委員会メンバーを代表して、阿形清和

年会のコンセプト@

第35回の年会は、

  • ○生化学会とは分離・単独開催となります(生化学会は同じ会場で時期をずらして(12/14 〜16)開催されます)。 生化学会と分離・連続開催となるので、分子生物学会のアイデンティティが問われる年会となります。分子生物学会に発表するんだ-- という高いモチベーションをもって奮ってご参加ください。
    • 1. 特に、ワークショップは全て一般会員から公募しますので、意欲的に参加願います。
      *ワークショップ公募は締め切りました。
    • 2. 学生会員は、引き続き開催される生化学会に別途登録費を払わずに参加することができるようにしています。今後の分子生物学会と生化学会との合同開催について考える機会にしてください (やがて諸君らの世代が学会の主力になっていくのですから)。

  • ○学会は自分の研究を発表するとともに、発表することで他の会員からのフィードバックを受けることが大きな目的と思います(もちろん、新たな情報を収集することと、他の会員との交流を楽しむことも重要です)。今回は〈自分の研究を話す〉年会を重視し、@シンポジウムは各時間帯に1本だけ立て、後は全て一般公募のワークショップとし、一般会員が発表する機会を増やします。また、Aポスター発表についても全てショートトークをするようにしますので奮って応募ください。

  • ○各時間帯に1本だけ立てるシンポジウムについては、組織委員会の方で企画しています。会員が整理して聞きたいトピックスやフロントの話しを解説つきで聞ける、あるいは学べるように工夫しています。例えば、non-coding RNA研究のフロントでは何が焦点になっているのか、そういったことを知る企画を考えています。

  • ○これからの学会をより有効に楽しむために、IT化をすすめ、スマートフォンやiPadを使ったプログラム検索、短い発表内容からは得られない周辺にある情報もまとめて収集できるようなシステムの構築をめざしています。分子生物学会にしかできないような「IT化」を実現し、将来の年会モデルを構築するのが本年会のミッションであると考えています。会員の皆様からもIT企画のアイディアを募集いたしますので、「IT企画募集」のページより、積極的にご応募ください。
    *IT企画公募は締め切りました。

    Face to Faceで議論し、様々なカルチャーから受けた新しい刺激をフィードバックできるような年会を目指します。