ニュースレター No.13 2003.5.15

第3回日本脳神経核医学研究会
アルツハイマーの画像診断
―最近のトピックス―

石津 浩一
MARCELO MAMEDE、向 高弘
飯田 靖彦*、上田 真史*、橋川一雄**、福山秀直**
佐治 英郎*、小西 淳二

京都大学大学院医学研究科 核医学・画像診断学教室
*京都大学大学院薬学研究科 病態機能分析学教室
**京都大学大学院医学研究科 高次脳機能総合研究センター


追加発言
Human Imaging of Nicotinic Acetylcholine Receptors:
[123I]5IA SPECT Studies

【目的】
新しいSPECT製剤であるI-123標識5-iodo-A-85380 (5IA) を用いて、ヒト中枢神経におけるニコチン作動性アセチルコリン受容体(nAChR)イメージングを行う。

【方法】
男性7、女性1の計8名(平均45.3歳)の健常被験者に対し、約150MBqの123I-5IAを静注し90分間のdynamic SPECTを施行した。男性1名に対しては間欠的に6時間までの遅延像撮影を追加した。同時に頻回の動脈血採血を行い代謝率測定を施行した。定量的解析としてLogan Plotを行い、脳内局所分布容積(DV)を算出した。

【成績】
123I-5IAは脳内に広く分布し良好な画像を得ることが出来た(図1)。大脳皮質への集積は1時間以内にピークに達していたが、集積の多い視床、脳幹部はplateauが皮質より遅く1時間半から2時間にピークに達した(図2)。90分のデータを用いたDVの平均値(ml/ml)は視床22.4、脳幹 20.1、小脳16.5、基底核15.6、前頭葉14.2、後頭葉12.5であった。視床、脳幹においては撮影時間を伸ばすことでDV値が増大した。

【結論】
nAChRのヒト脳内分布を画像化し、分布容積を定量化した。関心領域を視床や脳幹部に置かないならば90分程度の撮影で十分な定量解析が出来るのではないかと思われた。


(この論文は、2002年11月6日、第3回日本脳神経核医学研究会「アルツハイマーの画像診断 ―最近のトピックス―」の「Human Imaging of Nicotinic Acetylcholine Receptors: [123I]5IA SPECT Studies」というタイトルでお話いただいた内容を石津先生ご自身にまとめていただいたものです。)

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図1


図2