第2回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会会長 西村 正治 (北海道大学大学院医学研究科内科学講座呼吸器内科学分野) |
このたび、第2回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会を、2017年6月2日(金)- 3日(土)の2日間、札幌市・芸文館にて開催させていただくこととなりました。
本学会は2012年から始まった日本肺循環学会と2013年から始まった日本肺高血圧学会が2014年、2015年と2年間の同時開催を経て、2016年ついに正式に統一されたものです。第1回学術集会は2016年10月1-2日に会長 杏林大学医学部付属病院循環器内科 佐藤 徹 教授、副会長 東京医科大学心臓血管外科 荻野 均 教授、東京医科歯科大学小児科 土井庄三郎 教授の下で東京にて開催されました。この二つの学会が統一された背景には、両学会の目指す方向が類似していたということに加えて、肺高血圧・肺循環領域が元々その疾患の特徴ゆえに学際的な協力を必要としていたことがあります。そのために、異なる専門領域出身者ができるだけ多く一堂に会することこそが望ましいと皆が信じたからです。
本学会に副会長を置いて会長をサポートする仕組みとしたのも、異なる領域のリーダーが協力してこの学会を成功させたいという意識の表れです。今回は北海道で開催されるという地の利を生かして、学術集会の副会長として、北海道大学大学院医学研究科免疫・代謝内科学分野教授 渥美達也先生と旭川医科大学循環・呼吸・神経病態内科学分野教授 長谷部直幸 先生のご協力・ご支援を仰ぐことができました。
本邦における肺高血圧診療のレベルはかなり高いものと私は思います。実際、The Japan PH Registryに登録された患者の生命予後は国全体のデータを反映していないとの批判はあるものの素晴らしい成績です。いわゆるCombination therapyが積極的に早くから導入されたことがその一部を説明しているかもしれません。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するBalloon Pulmonary Angioplastyが本邦で再評価され技術的にも洗練されて欧米各国が逆輸入しつつあるという現状もご承知の通りです。
しかし、残念なことは高いレベルのエビデンスとされる研究業績のほとんどすべては海外からの情報に頼っている現実も認めざるをえません。そこで、今回の学術集会のテーマを、「日本らしさの発見、学際的統合そして発信」とさせていただきました。学際的な協力・統合を経て本邦からより多くの日本ならではの基礎研究の成果・臨床診療の基となるエビデンスを発信したいという願いを込めたものです。本学術集会においてはできるだけ異なる専門分野の先生方の交流ができるよう、第1回に引き続きあえて会場数は4つに絞り、シンポジウム等のテーマにも様々な工夫を凝らす所存です。
6月の札幌はもっとも快適な季節でもあります。多くの皆様と札幌の地でお会いできることを楽しみにしております。