第21回日本ワクチン学会学術集会

会長挨拶

 この度、第21回日本ワクチン学会学術集会を2017年12月2日(土)、3日(日)の2日間、福岡国際会議場で開催させていただきます。

 わが国の予防接種は九州から始まりました。そして、予防接種に関わる多くの先達が組織された日本ワクチン学会は、2016年成人式を迎えました。第1回大会の大谷明先生は、「本学会設立の趣旨は、ワクチン学振興を旗印とする」と書かれています。今回は、第21回大会です。これまでの学会の歴史を振り返りながら、今後のワクチンに残された課題を整理していきたいと考えています。

 メインテーマを「みんなでめざそう!ワクチン先進国」といたしました。本学会は、ワクチンに関わる基礎研究者、疫学研究者、行政担当者、ワクチン製造および供給担当者、臨床医など産・官・学の多職種が一同に会することができる唯一の学会です。みんなで、わが国をワクチン先進国へ導きたいとの思いは、共有していただけると存じます。

 本学術集会では、世界のワクチンのリーダーの Stanley Plotkin 先生とその門下のEmmanuel Vidor先生に特別講演をお願いしております。今後、わが国が進むべき方向性をグローバルな視点から、ご講演いただけると期待しています。

 教育講演は3題です。“学”の視点では、予防接種に関わる16団体で構成されている予防接種推進専門協議会から「アカデミアから社会へ向けた発信」について紹介いただきます。“官”の立場からは、予防接種制度や副反応疑い報告制度・健康被害救済制度、ワクチンの開発や供給などに関して厚生労働省からご講演いただきます。接種現場において、基礎疾患などでワクチン接種が控えられている児がいることも忘れないでいただきたいと思います。臓器移植が必要な児や先天的および後天的に免疫不全状態となっている児の診療や研究を専門に行っている多くの関連学会の協力を得て作成できた「小児の臓器移植および免疫不全状態における予防接種ガイドライン」を紹介いただきます。

 シンポジウムは4題を予定しています。これまで多くの成果を社会に還元してきた予防接種に関する研究班の中から、代表的な班の成果のまとめと今後の課題を紹介いただきたいと思っています。「Systems Vaccinology」では、有効性および安全性の基礎研究、細菌ワクチンとウイルスワクチンの基礎研究の成果を紹介いただきたいと考えています。「ワクチンの有害事象を考える」では、米国の制度を参考にしながら、わが国の現状と今後を議論していただきたいと思っています。近年、ワクチンの安定供給が問題となっています。「ワクチンの安定供給に向けて」、供給・流通・備蓄などについて、“産”の視点から、わが国の課題を取りあげ、臨床現場が困らないような対応策を皆様と考えていきたいと思います。

 12月初め、関係者一同 ”思いやり“の気持ちをこめて、皆様の来福を心よりお待ち申しあげております。ただ、昨今は市内の宿泊状況は社会問題となるほど逼迫しております。安心してお越しいただけるよう、どうぞ早めに宿泊先を確保していただきますようお願いいたします。

第21回日本ワクチン学会学術集会
会長 岡田 賢司
福岡歯科大学総合医学講座 小児科学分野
福岡看護大学
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