会長挨拶

代謝中枢臓器としての肝臓

第2回肝臓と糖尿病・代謝研究会会長 谷澤幸生第2回肝臓と糖尿病・代謝研究会会長
山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学(第3内科)谷澤幸生

 第2回肝臓と糖尿病代謝研究会を平成27年5月23日、山口県下関市で第58回日本糖尿病学会年次学術集会にあわせて開催いたします。今回のメインテーマは、「代謝中枢臓器としての肝臓」と致しました。
 いうまでもなく、肝臓は糖、脂質、アミノ酸代謝において重要な役割を果たしています。生体の恒常性を維持するために代謝上必須の役割を演じますが、同時にその機能的、器質的変化は疾患に密接に関連します。代謝性肝疾患は、近年の日本人のライフスタイルの変化とともにその重要性が増していますし、糖尿病自体とともに肝癌のリスク増加に密接に関わっています。糖尿病においても、インクレチン関連薬やSGLT2阻害薬の登場により、肝臓の糖代謝調節における役割が一層重要視されています。これらの薬剤は血糖降下作用を持つ糖尿病治療薬であることは勿論として、1次的、または2次的に代謝性肝疾患に対しても有用な効果を示しうることが示唆されています。肝臓及び肝疾患と糖尿病はその病態生理から、治療に至るまで相互関係の理解が一層深まり、新しいステージを迎えつつあります。
 そのような背景の中で、日本肝臓学会と日本糖尿病学会の共同開催により、小池和彦日本肝臓学会理事長を会長として平成26年7月に第1回肝臓と糖尿病代謝研究会が東京大学伊藤謝恩ホールで開催され、多数の参加者により最新の研究発表と活発な討議が行われました。今回は第2回を第58回日本糖尿病学会年次学術集会の最終日に山口県下関市、シーモールパレスにて開催致します。日本糖尿病学会年次学術集会との同時開催であるメリットを最大限に生かし、海外からの招待演者を含め、第1回同様、実り多い会になるようにシンポジウム等プログラムの準備を進めています。若手研究者による優秀な演題に対して、Young Investigator’s Awardも授与されます。
 肝臓学会会員の皆様の多くは、熊本での学会に引き続いてのご参加となりますが、幸い九州新幹線が開通しており、小倉駅で乗り着いていただきますと、下関へはJR在来線でさらに約15分と交通の便にも恵まれています。海峡の町、下関で、多数の肝臓学会、糖尿病学会の会員にご出席いただけますようにお願い申し上げます。